イノベーションラボ


ヤフー株式会社は、宮城県石巻市に復興支援事業の拠点となる「ヤフー石巻復興ベース」を開設した。ヤフーのオフィスであるとともにコ・ワーキングスペースとして地域の人に開放し、交流を通して石巻市発の復興事業の創出を目指すという。
 
 

三陸河北新報社のあるビルの一角

ヤフー石巻復興ベースがオープンしたのは、地域新聞を発行する三陸河北新報社が入ったビルの1F。 三陸河北新報社では、昨年の津波で1Fが使えなくなったため、カルチャーセンターがあった2Fに営業・編集室を移して業務を続けてきた。1Fを改修するにあたり、もとのカルチャーセンターを復活させることは考えにくく、それよりも津波の被害によって減ってしまった「人が集う場」(=ホール)を作りたいと考えていたところに、ヤフーの復興拠点の話が舞い込んだという。

石巻市千石町にオープンしたヤフーの石巻復興ベース

カフェとキッチンをイメージしたフロア

ヤフー代表取締役社長の宮坂 学氏は、「単に支社をかまえるのは地域の人たちに対して閉鎖的な感じがしましたので、ヤフーのオフィスであるとともに、人が自由に出入りできるオープンなスペースにしようと考えました」と語る。
内装はすべてヤフーが行い、オープンシェアオフィスをコンセプトにミーティングスペースとワーキングスペースを作った。iPadやデジタル一眼レフカメラ、Ustreamの配信機材や照明を備え、石巻の情報発信スタジオとしても利用される。
椅子は震災後に石巻市で自立復興を目的に立ち上がったものづくりの場「石巻工房」のものを使用。 フロアの真ん中にはカフェとキッチンをイメージしてステンレスの台を置いた。石巻発のEコマースにも力を入れることから、「地元の漁業関係者がいつでも気軽に来て魚をさばけるように」(復興支援室長・須永浩一氏)というアイデアである。
 


テレビ会議もできるミーティングスペース(左上)、壁一面のホワイトボード(右上)、石巻工房製の椅子(左下)、ステンレス台の上には石巻でウエットスーツを製造するモビーディック社がはぎれで作ったペットボトルホルダー(右下)。

石巻の新たな価値を見出し、インターネットで届けるプロジェクトY-LD

ヤフーはこのオフィスに石巻市の出身者を含む5人を配置した。チーム名はプロジェクトY-LD(ワイルド)。Y-LDはYahoo! LIFE DESIGHNの略で、自立のための支援を目的に活動する。
大きなミッションは石巻の「新たな価値」を見出し、インターネットの仕組みを使って伝え、届けること。当面の取り組みとして「情報発信」「新しい形のEコマース」「B2B(企業間)のECのスキーム」「IT人材育成と事業支援」を柱に据えているが、5人が石巻市に常駐して地域の人たちとディカッションをする中で、真の課題を探り、新しい事業のアイデアを生み出していくことが期待されている。

石巻の復興ベースに配属されたメンバー、左端は復興支援室長の須永氏

「かほくホール」も同時にオープン

7月30日、同じ1Fの隣接フロアに70人規模のセミナーが行える三陸河北新報社の「かほくホール」もオープンし、ヤフー、河北新報社、三陸河北新報社と合同で行われた開所式にはリニューアルを喜ぶ地元の人たちが多数訪れた。
登壇した三陸河北新報社の西川善久氏は、「この地域以外では知られていない紙媒体であるわれわれと、ITの最大手でデジタル発信力に長けたヤフー。両極にある企業が協力し、石巻市および被災地全体の再生につながる一大プロジェクトに育てていきたい」と期待を込めて挨拶した。

三陸河北新報社 代表取締役社長の西川善久氏

復興という日本の課題に挑戦

 石巻市は宮城県で仙台市に次ぐ大都市だが、震災で3000人以上の命が奪われ、今も町のいたるところに激しい被害の痕が刻まれている。 インターネット企業は地域社会にとっては新興勢力であり、そこに期待されるのは、単なる援助ではない、新しい「何か」のはずである。
宮坂氏は、ヤフーがコーポレートアイディンティティーとして「課題解決エンジン」を掲げ、人や社会、個人のあらゆる課題を情報技術で解決することを目指していることを紹介し、「課題というのは可能性の裏返しです。今の日本の最も大きな課題は復興であり、これをインターネットでどのように解決するのか、挑戦していきます」と意気込みを述べた。
また、 「震災直後の情報発信によってインターネットが社会に役立つことを認識していただきましたが、復興フェーズではまだまだチャレンジしきれていないと思います」と加え、この復興ベースが第一歩であることを来場者に伝えた。
 

ニュースリリース http://blogs.yahoo.co.jp/yj_pr_blog/23178851.html