2016円8月3日、アマゾンの電子書籍読み放題サービスであるキンドルアンリミテッドが日本で開始された。月額980円で和書12万冊、洋書120万冊が読み放題となるというサービスだ。同じサービスはすでに米国で開始されていた。読者としては読み放題だが、出版社や作家はどのようなメリットがあるのだろうか。「一定のページ数が閲覧」されたら、あらかじめ用意されている分配原資を参加出版社で分配するというものだった。出版社にとってはロングテール作品(新刊のような多数の売れ行きではなくても、少数でもニーズが確実にあり、継続して販売されている商品)のマーケティングとしては有効に作用するものと思われた。
しかし、突然、人気作品が読み放題の対象商品からはずされてしまったのだ。ロングテール作品の販売チャンスとして期待していた出版社にとっては肩透かしを食らったような状態となり、講談社がアマゾンに対する抗議文書を公開するという事態になった。
筆者はアマゾンと出版社がどのような契約を交わしていたかは具体的に知る立場にないが、一連の報道を見ていると、出版社側の主張は「何の相談もなかった」というどちらかというとビジネスマナーを問題としている。対するアマゾンは「契約書上は事前に断ることなく、アマゾンが対象作品を選定可能である」ということのようで、これがすれ違いのポイントのようだ。つまり、契約書に根ざしている外資系企業と、契約書はあったとしても、その前に信頼関係を重視する日本の出版社に根付く文化的背景の違いというわけだ。その上で、そもそもの発端は、日本の電子書籍市場が米国のそれとはかなり異なり、コミックや写真集など、「一定のページ数」の閲覧が容易に達成できてしまうことから、アマゾンの計画が見込みと大きく違ったということもあるだろう。
ところで、このできごとについて取り上げた一般メディアがとても多かったのも特徴的だ。テレビのニュース、新聞、雑誌、そしてウェブメディアまでが扱うというのは、市場規模でもたかだか1000億円強の「電子書籍」という商品形態のことではなく、国際市場における企業文化の相違から起きた事件ということに着目をしているのではないか感じる。

ニュースソース

  • 「5カ月分の予算が最初の1週間で消えた」―― 出版社社員が明かす「Kindle Unlimited」大混乱の理由[ねとらぼ
  • 「日本版アンリミテッド」最初の試練[eBook2.0Forum
  • アマゾン読み放題、勝手に「20社削除」の衝撃[東洋経済オンライン
  • アマゾン読み放題炎上から学ぶ、放題サービスの落とし穴[ハフィントンポスト
  • 講談社のAmazon抗議文書に見る、電子書籍ビジネスの行方[DIGIDAY
  • 電子書籍「読み放題」一部中止はアマゾンの転機か[日本経済新聞
  • 電子書籍業務日誌3[佐藤秀峰
https://i.impressrd.jp/wp-content/uploads/2016/10/ThinkstockPhotos-474053809-1024x768.jpghttps://i.impressrd.jp/wp-content/uploads/2016/10/ThinkstockPhotos-474053809-130x130.jpg編集部ニュースキュレーションコンテンツ,事件・できごと,電子出版/コンテンツビジネス2016円8月3日、アマゾンの電子書籍読み放題サービスであるキンドルアンリミテッドが日本で開始された。月額980円で和書12万冊、洋書120万冊が読み放題となるというサービスだ。同じサービスはすでに米国で開始されていた。読者としては読み放題だが、出版社や作家はどのようなメリットがあるのだろうか。「一定のページ数が閲覧」されたら、あらかじめ用意されている分配原資を参加出版社で分配するというものだった。出版社にとってはロングテール作品(新刊のような多数の売れ行きではなくても、少数でもニーズが確実にあり、継続して販売されている商品)のマーケティングとしては有効に作用するものと思われた。 しかし、突然、人気作品が読み放題の対象商品からはずされてしまったのだ。ロングテール作品の販売チャンスとして期待していた出版社にとっては肩透かしを食らったような状態となり、講談社がアマゾンに対する抗議文書を公開するという事態になった。 筆者はアマゾンと出版社がどのような契約を交わしていたかは具体的に知る立場にないが、一連の報道を見ていると、出版社側の主張は「何の相談もなかった」というどちらかというとビジネスマナーを問題としている。対するアマゾンは「契約書上は事前に断ることなく、アマゾンが対象作品を選定可能である」ということのようで、これがすれ違いのポイントのようだ。つまり、契約書に根ざしている外資系企業と、契約書はあったとしても、その前に信頼関係を重視する日本の出版社に根付く文化的背景の違いというわけだ。その上で、そもそもの発端は、日本の電子書籍市場が米国のそれとはかなり異なり、コミックや写真集など、「一定のページ数」の閲覧が容易に達成できてしまうことから、アマゾンの計画が見込みと大きく違ったということもあるだろう。 ところで、このできごとについて取り上げた一般メディアがとても多かったのも特徴的だ。テレビのニュース、新聞、雑誌、そしてウェブメディアまでが扱うというのは、市場規模でもたかだか1000億円強の「電子書籍」という商品形態のことではなく、国際市場における企業文化の相違から起きた事件ということに着目をしているのではないか感じる。 ニュースソース 「5カ月分の予算が最初の1週間で消えた」―― 出版社社員が明かす「Kindle Unlimited」大混乱の理由[ねとらぼ] 「日本版アンリミテッド」最初の試練[eBook2.0Forum] アマゾン読み放題、勝手に「20社削除」の衝撃[東洋経済オンライン] アマゾン読み放題炎上から学ぶ、放題サービスの落とし穴[ハフィントンポスト] 講談社のAmazon抗議文書に見る、電子書籍ビジネスの行方[DIGIDAY] 電子書籍「読み放題」一部中止はアマゾンの転機か[日本経済新聞] 電子書籍業務日誌3[佐藤秀峰]IT第二幕を世界のニュースで横断読み解き。