
日本の電子書籍市場といえば、小説、ビジネス書などのテキスト型の作品ではなく、コミックが圧倒的なシェアを占めている。インプレス総合研究所の調査によれば、電子書籍市場のおよそ8割はコミックだとしている(出所:「電子書籍ビジネス調査報告書2016」 インプレス総合研究所発行)。
一方、米国ではロマンス小説をはじめとするフィクションなどのテキスト型コンテンツが市場を占めているようだ。米国の出版業界団体が発表する市場統計では、あくまでも団体に加盟する出版社を調査するだけなので、個人作家によるいわゆるセルフパブリッシング作品の市場の実態を反映はしていない。そこで、アマゾンの電子書籍販売コーナーを自動的に巡回してデータを取得したり、有志の作家からの印税額の情報などをもとにしたりして統計処理をし、「見えていない」市場を分析しようとしているのがオーサーアーニングス(Author Earnings)というレポートだ。
このレポートは、米国電子書籍市場はセルフパブリッシング市場によって拡大を続けていることを明らかにした。逆に、大手出版社はビジネスモデルの転換に及び腰で、市場を失っているということも明らかになった。そして、最新レポートではセルフパブリッシングの拡大基調が初めて減少の傾向を示しているというものだ。その理由はいくつかあるようだが、これまでの中小出版社の営業努力が実っているということや、アマゾンが大手出版社が発行する作品を優先して扱っているということなどが指摘されている。
日本でも、ケータイ小説からヒット作品生まれたことはよく知られているし、最近ではコミック作品などを作家がウェブに投稿し、閲覧したファンの評価が高まると出版できるような仕組みを提供するプラットホームもある。従来のビジネスモデルの変更に及び腰な大手出版社に対して、出版のハードルが下がった個人作家が元気なのはいまに始まったことではない。こうしたことは、出版に限らず、クリエーティブな活動には共通していることだろう。こうした才能ある作品をビジネス化するためには、このような市場の変化をいかにとらえて、対応するのかということは重要なポイントであり、それはこれからもさまざまな分野で起きることだ。
ニュースソース
- Author Earnings最新レポート「個人作家の電子書籍シェアが初めての減少を見せる」「代わりに中小出版社が健闘」[hon.jp DayWatch]
- 米Bowker、2015年の米国内で個人作家へのISBN番号の付番数について再説明、電子書籍は153,160作品、POD書籍は573,965作品[hon.jp DayWatch]
- 2012年1月以降に発行された本がどれくらい電子化されているか Amazon で出版社別に調べてみた[見て歩く者 by 鷹野凌]
- いま実際にどれくらいの本が電子化されているか Amazon で出版社別に調べてみた[見て歩く者 by 鷹野凌]
- コミックがどれくらい電子化されているか Amazon で出版社別に調べてみた[見て歩く者 by 鷹野凌]
https://i.impressrd.jp/archives/838https://i.impressrd.jp/wp-content/uploads/2016/10/ThinkstockPhotos-474053809-1024x768.jpghttps://i.impressrd.jp/wp-content/uploads/2016/10/ThinkstockPhotos-474053809-130x130.jpg編集部ニュースキュレーションコンテンツ,市場調査/指標,電子出版/コンテンツビジネス日本の電子書籍市場といえば、小説、ビジネス書などのテキスト型の作品ではなく、コミックが圧倒的なシェアを占めている。インプレス総合研究所の調査によれば、電子書籍市場のおよそ8割はコミックだとしている(出所:「電子書籍ビジネス調査報告書2016」 インプレス総合研究所発行)。
一方、米国ではロマンス小説をはじめとするフィクションなどのテキスト型コンテンツが市場を占めているようだ。米国の出版業界団体が発表する市場統計では、あくまでも団体に加盟する出版社を調査するだけなので、個人作家によるいわゆるセルフパブリッシング作品の市場の実態を反映はしていない。そこで、アマゾンの電子書籍販売コーナーを自動的に巡回してデータを取得したり、有志の作家からの印税額の情報などをもとにしたりして統計処理をし、「見えていない」市場を分析しようとしているのがオーサーアーニングス(Author Earnings)というレポートだ。
このレポートは、米国電子書籍市場はセルフパブリッシング市場によって拡大を続けていることを明らかにした。逆に、大手出版社はビジネスモデルの転換に及び腰で、市場を失っているということも明らかになった。そして、最新レポートではセルフパブリッシングの拡大基調が初めて減少の傾向を示しているというものだ。その理由はいくつかあるようだが、これまでの中小出版社の営業努力が実っているということや、アマゾンが大手出版社が発行する作品を優先して扱っているということなどが指摘されている。
日本でも、ケータイ小説からヒット作品生まれたことはよく知られているし、最近ではコミック作品などを作家がウェブに投稿し、閲覧したファンの評価が高まると出版できるような仕組みを提供するプラットホームもある。従来のビジネスモデルの変更に及び腰な大手出版社に対して、出版のハードルが下がった個人作家が元気なのはいまに始まったことではない。こうしたことは、出版に限らず、クリエーティブな活動には共通していることだろう。こうした才能ある作品をビジネス化するためには、このような市場の変化をいかにとらえて、対応するのかということは重要なポイントであり、それはこれからもさまざまな分野で起きることだ。
ニュースソース
Author Earnings最新レポート「個人作家の電子書籍シェアが初めての減少を見せる」「代わりに中小出版社が健闘」[hon.jp DayWatch]
米Bowker、2015年の米国内で個人作家へのISBN番号の付番数について再説明、電子書籍は153,160作品、POD書籍は573,965作品[hon.jp DayWatch]
2012年1月以降に発行された本がどれくらい電子化されているか Amazon で出版社別に調べてみた[見て歩く者 by 鷹野凌]
いま実際にどれくらいの本が電子化されているか Amazon で出版社別に調べてみた[見て歩く者 by 鷹野凌]
コミックがどれくらい電子化されているか Amazon で出版社別に調べてみた[見て歩く者 by 鷹野凌]編集部編集部
np-center@impress.co.jpAdministratorIMPRESS INNOVATION LAB