米国オライリー・メディアといえば、技術書籍を発行している出版社で、日本でも翻訳版などを発行している技術者に人気の高い出版社である。創業者であり、社長であるティム・オライリー氏はシリコンバレーのビジョナリストとして、最新技術や技術コミュニティーと深い関係を持っていて、オープンソースカルチャーの普及をはじめ、2000年代はじめにはウェブ2.0という単語を広め、いち早くウェブ上のコンテンツやサービスのあり方の変化を捉えてきた人物だ。また、数年前までは電子書籍に関するコンファレンス「Tools of Change for Publishing」を主宰していて、本業である出版とデジタル技術についても造詣が深い。また、在庫を減らすプリントオンデマンド、データのポータビリティを高めるDRMフリーなどへの取り組みも早期から行ってきている。
そのような米国オライリー・メディア社が自社の電子書籍販売サイトを閉じ、サファリブックスへと移行すると発表している(ただし、キンドルストアなどでの単品販売は継続するようだ)。つまり、自社の電子書籍販売サイトでは単品の売り切り電子書籍ファイルを扱っていたのだが、それをやめてサブスクリプション型のモデルへと転換を進めていくことを意味している。以前より、技術書についてはサブスクリプション型への取り組みは行われていて、読者からも常に最新バージョンのソフトウエアに関する技術情報が手に入るということが支持されていた。
売り切りの電子書籍販売がどのような業績だったのかは発表されていないので定かではないが、扱っているテーマ、先進的な意識を持つ読者層などを考えると、決して驚きではないのかもしれない。
これまでもデジタルカルチャーについては先行的な取り組みをしてきた同社の決定だけに、業界の潮目の変化を感じざるを得ない。
また、慶應義塾大学SFC研究所と株式会社KADOKAWA、株式会社講談社、株式会社集英社、株式会社小学館、株式会社出版デジタル機構が、未来の出版に関する研究を行うAdvanced Publishing Laboratory(APL)を設置することを発表した。現在のEPUB規格の国際的な維持管理、そして次世代規格の標準化に貢献することを目的としているという。既報のとおり、EPUBに関する標準化作業はW3C(ワールドワイドウェブコンソシアム)に移管されたことから、日本ではW3Cをホストしている慶応技術大学と大手出版社がここにまとまり、W3Cへの技術提案などを行っていくことになると思われる。

修正履歴(2017年7月11日):本記事公開時点において、記事タイトルを「米国オライリー・メディアが電子書籍サブスクリプション型へ完全移行」としましたが、自社の販売は終了する一方で、キンドルストアなどでの販売は継続することから「完全」という表現を削除しました。また、キンドルストアでの販売が継続される旨を本文で加筆しました。

ニュースソース

  • O’Reillyが電子書籍書店の営業を終了[DgitalReader
  • SFC研究所と株式会社KADOKAWA、株式会社講談社、株式会社集英社、株式会社小学館、株式会社出版デジタル機構は、未来の出版に関する研究をおこなうAdvanced Publishing Laboratory(APL)を共同設置[[ニュースリリース](http://www.sfc.keio.ac.jp/news/012493.html]
  • 米Smashwords社が個人作家たちの電子書籍市場について恒例の年次レポート「トップセラーの73%はロマンス小説」[hon.jp
https://i.impressrd.jp/wp-content/uploads/2017/06/ThinkstockPhotos-533457654-1-600x397.jpghttps://i.impressrd.jp/wp-content/uploads/2017/06/ThinkstockPhotos-533457654-1-130x130.jpg編集部ニュースキュレーションコンテンツ,企業戦略/業績,情報通信,業界団体,標準化動向,電子出版/コンテンツビジネス米国オライリー・メディアといえば、技術書籍を発行している出版社で、日本でも翻訳版などを発行している技術者に人気の高い出版社である。創業者であり、社長であるティム・オライリー氏はシリコンバレーのビジョナリストとして、最新技術や技術コミュニティーと深い関係を持っていて、オープンソースカルチャーの普及をはじめ、2000年代はじめにはウェブ2.0という単語を広め、いち早くウェブ上のコンテンツやサービスのあり方の変化を捉えてきた人物だ。また、数年前までは電子書籍に関するコンファレンス「Tools of Change for Publishing」を主宰していて、本業である出版とデジタル技術についても造詣が深い。また、在庫を減らすプリントオンデマンド、データのポータビリティを高めるDRMフリーなどへの取り組みも早期から行ってきている。 そのような米国オライリー・メディア社が自社の電子書籍販売サイトを閉じ、サファリブックスへと移行すると発表している(ただし、キンドルストアなどでの単品販売は継続するようだ)。つまり、自社の電子書籍販売サイトでは単品の売り切り電子書籍ファイルを扱っていたのだが、それをやめてサブスクリプション型のモデルへと転換を進めていくことを意味している。以前より、技術書についてはサブスクリプション型への取り組みは行われていて、読者からも常に最新バージョンのソフトウエアに関する技術情報が手に入るということが支持されていた。 売り切りの電子書籍販売がどのような業績だったのかは発表されていないので定かではないが、扱っているテーマ、先進的な意識を持つ読者層などを考えると、決して驚きではないのかもしれない。 これまでもデジタルカルチャーについては先行的な取り組みをしてきた同社の決定だけに、業界の潮目の変化を感じざるを得ない。 また、慶應義塾大学SFC研究所と株式会社KADOKAWA、株式会社講談社、株式会社集英社、株式会社小学館、株式会社出版デジタル機構が、未来の出版に関する研究を行うAdvanced Publishing Laboratory(APL)を設置することを発表した。現在のEPUB規格の国際的な維持管理、そして次世代規格の標準化に貢献することを目的としているという。既報のとおり、EPUBに関する標準化作業はW3C(ワールドワイドウェブコンソシアム)に移管されたことから、日本ではW3Cをホストしている慶応技術大学と大手出版社がここにまとまり、W3Cへの技術提案などを行っていくことになると思われる。 修正履歴(2017年7月11日):本記事公開時点において、記事タイトルを「米国オライリー・メディアが電子書籍サブスクリプション型へ完全移行」としましたが、自社の販売は終了する一方で、キンドルストアなどでの販売は継続することから「完全」という表現を削除しました。また、キンドルストアでの販売が継続される旨を本文で加筆しました。 ニュースソース O'Reillyが電子書籍書店の営業を終了[DgitalReader] SFC研究所と株式会社KADOKAWA、株式会社講談社、株式会社集英社、株式会社小学館、株式会社出版デジタル機構は、未来の出版に関する研究をおこなうAdvanced Publishing Laboratory(APL)を共同設置[(http://www.sfc.keio.ac.jp/news/012493.html] 米Smashwords社が個人作家たちの電子書籍市場について恒例の年次レポート「トップセラーの73%はロマンス小説」[hon.jp]IT第二幕を世界のニュースで横断読み解き。