昨日に引き続き、米国で毎年行われている電子出版関連コンファレンスであるデジタルブックワールド2017について紹介する。
その前に米国電子書籍市場の概略を述べておく。米国の電子書籍市場はおよそ10年前のアマゾンのキンドル、その後のアップルiブックストアーの立ち上げによって本格的に拡大をした。最大時には米国一般書出版市場のおよそ2割強を占めるまでになった。しかし、その後、縮小を続け、現在は1割〜2割といったところだ。理由としては、大手出版社が電子書籍とアマゾンのマーケティング施策による値崩れを警戒し、あまり積極的に取り組まなかったということがあるようだ。一方、出版社を経由しないセルフパブリッシング市場は拡大を続けている。
そして、今年のハイライトといえば、昨年も登壇したオーサー・アーニングスという分析サイトを運営する通称データ・ガイ氏による市場分析だろう。テーマは「では、プリント版はどうか」ということだ。彼はこの場で使用したプレゼンテーション資料を公開しているので、一読の価値がある。。
これによると、大手書店チェーンや独立系書店が売り上げを落としたり、大きな成長をしたりしていないのに対し、オンライン書店=アマゾンでの売り上げ成長率は著しい。つまり、米国のプリント版市場の成長はアマゾンによって支えられているというわけだ。さらに、アマゾンの小売価格決定施策によって、売れ行きも変化をしていることをデータで証明し、いまやプリント版書籍市場もアマゾンの手の上にあるというわけだ。
すなわち、これまで言われてきたような「プリント版 vs. デジタル」という構図ではなく、「従来店舗型書店 vs. オンライン書店」がより鮮明になったというわけだ。
昨年、通称データ・ガイ氏がデータによる市場分析を試みてから、今年のコンファレンスでも市場を定量的にとらえようとする流れになっている。この数年のコンファレンスを見ていると、当初はオーサリングのツールや技法を学び、国際市場の営業戦略やライセンスについて考え、サブスクリプションなどの新たな販売ビジネスモデルに戸惑っていたこの産業も、いよいよデータドリブンに市場を分析するフェーズに入ってきたようだ。今後はそこから得たもので各社がどのような施策をとるかという段階に入るだろう。

ニュースソース

  • Print vs Digital, Traditional vs Non-Traditional, Bookstore vs Online: 2016 Trade Publishing by the numbers[Author Earnings
  • Data Guy氏が最新プレゼンスライドをネット公開「2016年度のAmazonの電子書籍売上高は前年比+4%」[hon.jp DayWatch
  • DBW 2017 オープニングテーマ:トレード、レジリエンス、そしてデータ[Publishing Perspectives
  • DBW 登壇者は一般書市場は安定していると分析[Publishers Weekly
  • 電子書籍のサブスクリプションサービスはより多くのタイトル、よりよい条件が必要だ[Teleread
https://i.impressrd.jp/wp-content/uploads/2017/01/ThinkstockPhotos-77740326-600x450.jpghttps://i.impressrd.jp/wp-content/uploads/2017/01/ThinkstockPhotos-77740326-130x130.jpg編集部ニュースキュレーション事件・できごと,電子出版/コンテンツビジネス昨日に引き続き、米国で毎年行われている電子出版関連コンファレンスであるデジタルブックワールド2017について紹介する。 その前に米国電子書籍市場の概略を述べておく。米国の電子書籍市場はおよそ10年前のアマゾンのキンドル、その後のアップルiブックストアーの立ち上げによって本格的に拡大をした。最大時には米国一般書出版市場のおよそ2割強を占めるまでになった。しかし、その後、縮小を続け、現在は1割〜2割といったところだ。理由としては、大手出版社が電子書籍とアマゾンのマーケティング施策による値崩れを警戒し、あまり積極的に取り組まなかったということがあるようだ。一方、出版社を経由しないセルフパブリッシング市場は拡大を続けている。 そして、今年のハイライトといえば、昨年も登壇したオーサー・アーニングスという分析サイトを運営する通称データ・ガイ氏による市場分析だろう。テーマは「では、プリント版はどうか」ということだ。彼はこの場で使用したプレゼンテーション資料を公開しているので、一読の価値がある。。 これによると、大手書店チェーンや独立系書店が売り上げを落としたり、大きな成長をしたりしていないのに対し、オンライン書店=アマゾンでの売り上げ成長率は著しい。つまり、米国のプリント版市場の成長はアマゾンによって支えられているというわけだ。さらに、アマゾンの小売価格決定施策によって、売れ行きも変化をしていることをデータで証明し、いまやプリント版書籍市場もアマゾンの手の上にあるというわけだ。 すなわち、これまで言われてきたような「プリント版 vs. デジタル」という構図ではなく、「従来店舗型書店 vs. オンライン書店」がより鮮明になったというわけだ。 昨年、通称データ・ガイ氏がデータによる市場分析を試みてから、今年のコンファレンスでも市場を定量的にとらえようとする流れになっている。この数年のコンファレンスを見ていると、当初はオーサリングのツールや技法を学び、国際市場の営業戦略やライセンスについて考え、サブスクリプションなどの新たな販売ビジネスモデルに戸惑っていたこの産業も、いよいよデータドリブンに市場を分析するフェーズに入ってきたようだ。今後はそこから得たもので各社がどのような施策をとるかという段階に入るだろう。 ニュースソース Print vs Digital, Traditional vs Non-Traditional, Bookstore vs Online: 2016 Trade Publishing by the numbers[Author Earnings] Data Guy氏が最新プレゼンスライドをネット公開「2016年度のAmazonの電子書籍売上高は前年比+4%」[hon.jp DayWatch] DBW 2017 オープニングテーマ:トレード、レジリエンス、そしてデータ[Publishing Perspectives] DBW 登壇者は一般書市場は安定していると分析[Publishers Weekly] 電子書籍のサブスクリプションサービスはより多くのタイトル、よりよい条件が必要だ[TelereadIT第二幕を世界のニュースで横断読み解き。