
米国のセルフパブリッシングプラットホーム大手であるスマッシュワーズ社のCEOが自身のブログにて、2016年の振り返りと、2017年の展望を発表している。それによると、2016年に同社で発行しているタイトル数は437,200タイトル、作家数は127,500人となったという。2008年創業以来、確実な右肩上がり傾向を維持してきた。また、このブログによると2017年は創業、すなわちセルフパブリッシング誕生から10年、そしてアマゾンのキンドル誕生から10年という記念すべき年であるとしている。一方で、2017年には、サブスクリプションサービスの印税計算モデルを逆手にとった書籍企画の増加に対する懸念、そしてサブスクリプションサービス(月額定額制サービス)による1点ごとの電子書籍販売モデルへのインパクト、とりわけアマゾンビジネスモデルへの大手出版社の不満などが上がることを指摘している。
そのようななか、サブスクリプションサービスを提供しているスクリブド社は、対象タイトルからコミックを取り下げると発表している。日本でも、アマゾンジャパンが大手出版社の人気作品を取り下げたことがニュースとなったが、このモデルの継続性の難しさも表面化しつつあるようだ。
さらに、ブログのようなウェブの出版プラットホームである米国Medium(ミディアム)が事業縮小を発表した。ミディアムはTwitterやBloggerを生み出したエヴァン・ウィリアム氏らが2012年に立ち上げられた事業。事業縮小の意図として、よくありがちの経営難を挙げているわけではない。昨今のコンテンツの品質、つまり確からしさをいかに担保するのか、そして、著者へ対しての支払いはどのような指標によって計算をすべきかを問い直すことだとしている。つまり、収益や注目されることを目的に、確かでない記事を書き、必要以上に煽った見出しを付け、ページビューを稼ぐというテクニックが横行し、メディアそのものの役割や価値を希釈してしまっているのではないかという問題を投げかけているということだ。米国では大統領選挙にからんだ虚偽情報の流布、日本ではDeNAによる信頼性の低い情報のメディアの運営体制が問題とされた。ウェブメディアで長らく信じられてきたビューモデル、広告モデルなどにより収益を得るという制度疲労を事業者自身が指摘しているという点で、とても重いことであるし、われわれも問い直すべき興味深い課題だ。
ニュースソース
https://i.impressrd.jp/archives/1307https://i.impressrd.jp/wp-content/uploads/2016/11/ThinkstockPhotos-536772285-600x400.jpghttps://i.impressrd.jp/wp-content/uploads/2016/11/ThinkstockPhotos-536772285-130x130.jpg編集部ニュースキュレーション企業戦略/業績,電子出版/コンテンツビジネス米国のセルフパブリッシングプラットホーム大手であるスマッシュワーズ社のCEOが自身のブログにて、2016年の振り返りと、2017年の展望を発表している。それによると、2016年に同社で発行しているタイトル数は437,200タイトル、作家数は127,500人となったという。2008年創業以来、確実な右肩上がり傾向を維持してきた。また、このブログによると2017年は創業、すなわちセルフパブリッシング誕生から10年、そしてアマゾンのキンドル誕生から10年という記念すべき年であるとしている。一方で、2017年には、サブスクリプションサービスの印税計算モデルを逆手にとった書籍企画の増加に対する懸念、そしてサブスクリプションサービス(月額定額制サービス)による1点ごとの電子書籍販売モデルへのインパクト、とりわけアマゾンビジネスモデルへの大手出版社の不満などが上がることを指摘している。
そのようななか、サブスクリプションサービスを提供しているスクリブド社は、対象タイトルからコミックを取り下げると発表している。日本でも、アマゾンジャパンが大手出版社の人気作品を取り下げたことがニュースとなったが、このモデルの継続性の難しさも表面化しつつあるようだ。
さらに、ブログのようなウェブの出版プラットホームである米国Medium(ミディアム)が事業縮小を発表した。ミディアムはTwitterやBloggerを生み出したエヴァン・ウィリアム氏らが2012年に立ち上げられた事業。事業縮小の意図として、よくありがちの経営難を挙げているわけではない。昨今のコンテンツの品質、つまり確からしさをいかに担保するのか、そして、著者へ対しての支払いはどのような指標によって計算をすべきかを問い直すことだとしている。つまり、収益や注目されることを目的に、確かでない記事を書き、必要以上に煽った見出しを付け、ページビューを稼ぐというテクニックが横行し、メディアそのものの役割や価値を希釈してしまっているのではないかという問題を投げかけているということだ。米国では大統領選挙にからんだ虚偽情報の流布、日本ではDeNAによる信頼性の低い情報のメディアの運営体制が問題とされた。ウェブメディアで長らく信じられてきたビューモデル、広告モデルなどにより収益を得るという制度疲労を事業者自身が指摘しているという点で、とても重いことであるし、われわれも問い直すべき興味深い課題だ。
ニュースソース
Smashwordsの2016年の振り返りと2017年の展望[Smashwords Blog]
Smashwords社による2017の書籍産業見込み[Smashwords Blog]
Scribdがサブルクリプションサービスからコミックを取り下げ[The Digital Reader]
Renewing Medium’s focus[Medium.com]
NYとDCオフィスを閉鎖し50人を解雇したMedium、今後は執筆者に対価を支払い従来メディアに近づいていくのか[TheBridge]編集部編集部
np-center@impress.co.jpAdministratorIMPRESS INNOVATION LAB