オープンモバイルへの提言―世界一不思議な日本のケータイ』発刊!

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井芹 昌信(All-in-One INTERNET magazine 2.0発行人)

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[ネットビジネスでおさえておきたいトピックを紹介]

ネットの風を読む

この1週間に、「All-in-One INTERNET magazine 2.0」の各セグメントメディアで取り上げた記事やテーマ、インターネット業界で起こった出来事やニュースの中から、注目トピックをピックアップ。


先週、『世界一不思議な日本のケータイ』という書籍を弊社より発刊させていただいた。本書は、総務省総合通信基盤局の谷脇康彦氏が書かれたもので、総務省が2007年に実施した「モバイルビジネス研究会」の成果をもとに、日本のケータイの現状課題と将来への提言を記した書である。

本書は、以下の素朴な問いから始まる。

  • なぜ携帯電話の料金プランは複雑なのか?
  • なぜ携帯端末と通信サービスを別々に買うことができないのか?
  • なぜすべての端末が高機能なのか?
  • なぜ携帯会社の数は限られているのか?
  • なぜモバイルインターネットは携帯会社だけが提供しているのか?

著者はこれらの疑問に答えながら、日本のケータイビジネスの本質的課題を洗い出していく。

ところで、日本のケータイ事情についての評価には、2つの両極端な見方がある。1つは、世界一速いインフラの上で動く世界一高機能な端末という「世界一高性能なケータイ」という評価。そしてもう1つが、高機能だが日本だけでしか動かない「鎖国ケータイ」というネガティブなものだ。日本のケータイの通話方式やサービス内容が日本独自のものであり、国際標準にはなっていないことを知る人は少ないので、日本の多くの消費者が前者の見方を支持していると思われる。しかし、もう一方の側面はしだいに大きな影響を及ぼしており、これ以上の発展は望めないばかりか、外国勢に切り崩される危険をはらんでいる。

ちなみに、この図式はケータイに限らず、ワープロ、パソコンなど日本のデジタル産業がこれまでも置かれてきた図式であることは、このコラムでも何度か報告している通りである。著者はこの点に警鐘を鳴らしており、さまざまな考察と提言を行っている。

たとえば、アップルのiPhone、スカイプ、グーグルのアンドロイドなどインターネット(オープン)陣営の製品群が通信業界に変化の圧力をかけていること。また、SIMロックが通信サービスと端末機器を分離する鍵だとして、日本のケータイの機能が高水準を保っているうちにSIMロック解除を行うこと。また、勝手サイトの台頭を肯定した上で、現在は公式サイトに限定されているキャリア課金のような課金の仕組みを、オープンに構築していく必要があることなどが提案されている。

つまり本書の提案骨子は、通信キャリア主導の垂直統合型モデルだけの現状から、端末、通信、課金、アプリケーションなどのレイヤーごとに競争が起こる水平統合型への進化である。パソコンやインターネットと同様に各企業や各サービスが競争して、よりよいものを生み出せる環境にし、消費者はその中でさまざまな選択肢を持てるほうがいい、ということだ。著者は、このことを「オープン型モバイルビジネス環境」と呼んでいる。この提言には、まったく賛成である。

なお本書は、次世代のケータイビジネスという観点から、「NGN」「SaaS」「FON」「ネットワーク中立性」など、いまIT業界で注目を集めているキーワードにも言及している。ケータイ業界の方はもちろんのこと、広くIT業界に従事されている方々にもお勧めしたい。

関連情報:
『世界一不思議な日本のケータイ』リリース
『世界一不思議な日本のケータイ』販売ページ
All-in-One INTERNET magazine 2.0トップページ


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