ソーシャルキャピタルとは (social capital) 用語解説

「ウェブサイエンス2.0胎動 用語解説」(森田 進)

用語:ソーシャルキャピタル
よみ:そーしゃるきゃぴたる
英語:Social capital
略語:-

直訳すれば社会関係資本のこと。社会における信頼関係と規範のあり方、社会の効率性向上等との関係について考察を加えた場合、厳格な上下関係(階層構造)で構成される人間関係よりも、フラットな関係で協調的な行動によって社会の効率性も高められるという考え方に立脚して展開した理論。この用語には多様な定義が含まれているが、基本的な定義としては、共同体や社会において人々が持ちうる協調や信頼関係のことを指している。

最初にソーシャル・キャピタルについて体系だった分類・定義をしたのはピエール・ブルデューであり、社会的資源及び社会的価値を、文化資本、経済資本、社会関係資本(人脈)の3つに分類し、社会的地位の再生産の議論に向けた適用を試みた。

その後、地域コミュニティが衰退し、個人主義が蔓延しつつあった1980年代以降のアメリカを背景に、社会学者のジェームズ・コールマンが、信頼やつきあいなどの人間関係、中間集団などでは、ヒューマン・キャピタル(人的資本)ならぬソーシャル・キャピタルが持つ意義を唱えた。彼の提唱をきっかけに、ソーシャル・キャピタルという概念はアメリカ社会学の世界で広く受け入れられることとなった。

さらに、1993年、アメリカ合衆国の政治学者ロバート・パットナムが『Making Democracy Work(邦題『哲学する民主主義』)』の中で、イタリアの北部と南部で州政府の統治効果に南北格差があるのはソーシャル・キャピタルの蓄積の違いによると指摘し、人々の協調行動を活発にすることによって社会の効率性を高めることのできることや、「信頼」「規範」「ネットワーク」といった社会的仕組みがソーシャル・キャピタルの成立の条件であるとした。

また、Alejandro Portesの「Social Capital: its origins and applications in modern sociology (1998)」や『孤独なボウリング ―米国コミュニティの崩壊と再生(原題:Social Capital: its origins and applications in modern sociology)』(2006年、ロバート・パットナム 著、柴内康文 訳、柏書房)などの論文・書籍がきっかけとなり、社会学、政治学、経済学、経営学などの分野などでソーシャル・キャピタルの思想に関心が集まるようになり、多様な意味で使われ、さまざまな研究が試みられている。

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