Foo Camp―GoogleやWikipedia創業者も参加するオライリー主催プライベートイベントの全貌【前編】

[Foo Camp 2007レポート]

Foo Camp 2007

オライリーが主催するイベントは、Web 2.0 SummitやWeb 2.0 EXPO、OSCONにETechなど、最前線で活躍する業界注目の人々が参加することで有名だ。そのなかで発表される内容や語られるテーマは、世界中から注目されるため、いまやIT業界の名物イベントとなっている。その中でもちょっと異質なのが「Foo Camp」である。完全招待制であるため、その内容を知る人は少ない。このレポートでは、2007年6月に行われたこのイベントを前・中・後編の3回にわたってお伝えしていく。

前編となる今回は、イベントの背景や会場周辺の様子、イベント開始までの模様を紹介する。

文・写真:林信行(Nobuyuki 'Nobi' Hayashi)

オライリーにとって特別なイベント

今では「Web 2.0の提唱者」として紹介されることも多いティム・オライリー氏だが、IT業界に身を置く人なら米国の出版社、オライリー・メディア社(旧オライリー&アソシエイツ社)の創立者として、古くからその名を知っているはずだ。


オライリー・メディアの創設者でありCEOのティム・オライリー氏。ここ2、3年はWeb 2.0の提唱者として語られることが多いが、その原点は編集者である。

「アニマルブック」とも呼ばれる動物の木版画を表紙にしたマニュアル本でUNIXを覚えた人は少なくないのではなかろうか。

オライリーはアップルやマイクロソフトのように商品をつくってきたわけでもなければ、Yahoo!やGoogleのようにサービスをつくってきたわけでもない。


Perlはラクダ、HTMLはコアラ、viはメガネザル……といった具合に、オライリーの本には解説する内容ごとに異なる動物の木版画が描かれている。オライリー社には、有名なPerl本の表紙にもなっているラクダの巨大な木版画が飾られていた。この動物シリーズの表紙にはファンも多く、こんなウェブサービスがつくられていたりもする。

しかし、今日のIT業界に息づく文化の創造という点においては、他のどの会社にも負けないくらい貢献してきたといえるだろう。

元々は書籍の出版社だったオライリーは、現在、「O'Reilly Open Source Convention(OSCON)」、「Where 2.0」、「RailsConf」、「ETech」、「Make Faire」といったさまざまなイベントの主催者としてもその活動の幅を広げている。

最近では「Web 2.0」の発信源として「Web 2.0 Summmit」や「Web 2.0 Expo」が話題になり、日本でも2008年11月に「Web 2.0 Expo Tokyo」を開催し、ティム・オライリー氏も10年ぶりに来日した。

そんなオライリー系のイベントの中でも、飛び抜けて特別なのが「Foo Camp(フーキャンプ)」と呼ばれるイベントだ。

「Foo」とは「Friends Of O'Reilly」の略だ(プログラミングにおいてサンプルの識別子として使われる「foo bar」にもかけていると思われる)。ティム・オライリー氏の個人的友人やオライリー・メディアと関わりが深い人物、同社が注目する人物、同社に記事を提供する執筆者などを人数限定で同社に招待し、ともに週末を過ごすというイベントで、2007年は6月末に開催された。

今回の招待客は250人で、Googleの共同創業者であるラリー・ペイジ氏やモジラ・コーポレーションCEOのミッチェル・ベイカー氏、ロータス社の創業者として知られるミッチ・ケイパー氏、Wikipedia(ウィキペディア)創業者のジミー・ウェールズ氏、Blogger、OdeoそしてTwitterなどを立ち上げたエヴァン・ウィリアムズ氏、さらには日本でも話題になっているOpenIDの提唱者、デビッド・レコードン氏なども参加した。

日本からは、Ruby開発者として米国でも熱い注目を集めるまつもとゆきひろ氏(松本行弘。英語圏ではMatzの通称で知られる)も招待されたが、残念ながら参加できなかったようだ。

筆者は、米国のオライリーブログにて記事を執筆している関係で、幸運にも招待してもらえた。そこで、米国のIT業界でも「招待されることが名誉」とされている同イベントの中身を簡単に紹介したい(なお、その他の日本人としては、過去に伊藤穰一氏が参加している)。


foo bar(つまりドリンクコーナーだ)。Foo Campの元々の発案者はオライリー社広報担当副社長のサラ・ウィンジ氏。彼女は、ティム・オライリーと親しい友人が楽しめるバーをつくりたいと冗談で言っていた。Foo Campは、そのアイディアが元となり誕生。foo barも、Foo Camp中限定のバーとして、同イベントの会期中だけオープンすることになった。

Foo Campの提唱者のサラ・ウィンジ氏(左)。Foo Campへの招待状はティム・オライリー氏(右)と彼女の連名になっている。

Googleのラリー・ページ氏は、2日目にGoogleカラー?のヘリコプターで現れ、自分が見たいセッションだけ見た後、すぐにまたヘリコプターに乗って去っていった。このことは、他のFoo Camp参加者に散々ネタにされた。

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米国で流行するキャンプ系イベントの元祖