[書評] 情報通信アウトルック2005 IT大競争時代を迎えて

喜多充成(ライター〔科学・技術〕)

※この記事は『インターネットマガジン2005年4月号』に掲載されたものです。文中に出てくる社名、サービス名、その他の情報は当時のものです。

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『情報通信アウトルック2005 IT大競争時代を迎えて』

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白書の中に見つけた執筆者の思い入れ
新たな読み方を発見し、引き込まれる自分

情報通信アウトルック2005 IT大競争時代を迎えて
  • 『情報通信アウトルック2005 IT大競争時代を迎えて』
  • 情報通信総合研究所 編
  • ISBN:4-7571-0146-5
  • 定価:2,520円(税込)
  • NTT出版
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編集部から本書を手渡され、多少ひるんだ。オビには「主要トピックを完全網羅、最新トレンドを分かりやすく解説」、編著は業界を代表するシンクタンク…。書評のしようがあるのだろうか? 重いし。

もちろんパラパラと開き始めれば、企画やマーケティング部門に必置の一冊であることがすぐわかる。“ググれ”ば何でも手に入る便利な世の中になった。しかし、キーワードが思いつかないばかりに重要な知識がすっぽり抜け落ちたままという危険も実は高まっており、その点で「完全網羅」の価値はますます高い。シンクタンク設立が1985年、出版開始が1998年というから継続性も文句なし。バックナンバーを揃え社長室に置けば、来客の信頼を高める家具調度にもなる。

さらに読み進め、ある章で「むむっ」と引き込まれた。「平成の大合併」に伴う地方自治体の情報システム統合についての項である。実はこの2月、私の生まれ故郷の村(石川県鳥越村)も、名が消えた。その寂寥感が感応したのかもしれぬが、システム統合にかかわる当事者の苦労や苦悶が活字されている。加えて「合併が過疎地のITインフラ整備のラストチャンス」とのメッセージまで含む。そう、年鑑もメディアだったのだ。

つまりこの本は、X軸(網羅性)とY軸(継続性)に加え、Z軸(メッセージ性)の深みも重みもある1冊だ。編集部には返さず、本棚にしまっておくことにする。

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