日本市場への最適化と独自の技術でユーザー獲得をめざす「百度」(バイドゥ)
柏木恵子
百度が日本での本格展開を開始するにあたり、1月23日に行われた記者発表会で百度株式会社取締役の舛田淳氏から、具体的な戦略が説明された。
圧倒的なシェアを占めるYahoo!とGoogleに対してどう挑むのか、また、検索サービスで重要な要素となる技術面でのアドバンテージは何か。「まずは2番手をねらう」という戦略の意図が示された。
2バイト文字と多義性が共通する
日本進出には勝算がある
百度(バイドゥ、Baidu)が最初の海外進出先として日本を選んだ理由の1つが、同じ2バイト文字の文化圏であるということだ。中国語も日本語も、ともに2バイトの文字を使い、単語と単語を区切るスペースがないという共通点がある。この、スペースで区切らない文章から言葉の意味をとるのは、英語など単語ごとにスペースが入る言語に比べて難しい。そして、シングルバイトの言語に比べてダブルバイトの言語は多義性を持つという特徴がある。インターネットビジネスの多くが米国発だが、ダブルバイト文化圏である中国発の検索エンジンだからこそ、これらの諸問題に対して技術的なアドバンテージがあるという。
百度の特徴として、百度株式会社取締役の舛田淳氏は次の4点を挙げた。

日本のユーザー意識分析と今後の展開について説明する百度株式会社取締役 舛田淳氏。
- 字面のキーワード理解からキーワードの意味理解へ
元々多義性を持つダブルバイトでの検索のために組まれたテクノロジーであり、単にキーワードが一致しているかいないかだけを判断するのではなく、コンピュータに意味を知的に理解させることに成功している。
- 平面的なテキスト分析から視覚的なハイパーテキスト分析へ
単純にキーワードがあるかないか、いくつあるかではなく、ページ上のどの部分が重要でどの部分は広告など主目的ではない部分なのかを判断する。
- ハイパーリンク主体からユーザー行動主体の評価へ
リンクの本数などインターネット上のリソースのみを分析して評価するのではなく、ユーザーが何というキーワードを入力し、どのサイトをクリックしたかというユーザー行動を含めた評価アルゴリズムを設定している。
- テクノロジー主体から人+テクノロジー主義へ
特に多義性のある言語では、統計的、数学的処理には限界があり、人が見て意見を集約していくことで、よりよい検索エンジンができると考えている。
これらの技術を使って、ユーザーとともに成長する検索エンジンを目指していきたいとしている。

「ユーザーとともに成長する検索エンジン」とうたう百度。
遊びの要素を充実させて
セカンドサーチエンジンをねらう
そのような技術的優位があるとしても、事実上Yahoo!とGoogleの寡占状態である日本の検索エンジン市場で、本当に成功できるのだろうかという疑問は払拭できない。しかしそれについては、きっぱりと「No.1は狙わない」と言い切った舛田氏。
百度が独自に調査した結果によると、ビジネスマン層のユーザーの約70%が複数の検索サイトを利用しているという。つまり、「最初に使う検索エンジンの、その次の選択肢(セカンドサーチエンジン)としてBaidu.jpを使っていただきたい」(舛田氏)というのだ。そのために必要なのが、「検索精度」と「遊び」だという。
何か新しいことを知るというのは、人間の知的な遊びの最たるものだ。だから当然、調べるという行為をサポートする検索精度の向上は、百度の重要なミッションとなる。それに加えて、百度ならではのより楽しいサービスを提供する。そのためのツールが、Baidu.comでも人気の高い動画や画像などのエンターテインメント系検索サービスである。
Baidu.jpのサービスラインナップは、通常のウェブ検索に加えて、画像検索と動画検索、そして日本ならではのサービスだというブログ検索だ。Baidu.jpトップページとなるウェブ検索のデザインは、Baidu.comとはまったく違う(画面1)。
これは、日本のユーザーニーズを調査した結果に基づいている。また、動画検索ページでは、アクセスするたびにお勧め動画が表示される(画面2)。これも、「みんなが知っていることは知っておきたい」という日本人の国民性を考慮してのことだという。ただし、Baidu.comで人気の音楽(MP3)検索については、日本での法制度を考慮して今回のラインナップには含まれていない。

画面1 Baidu.com(左)とBaidu.jpのウェブ検索ページ。

画面2 Baidu.jpの動画検索ページ。
今後は、日本のさまざまなユーザーニーズを反映したサービスを開発していくとともに、家電や携帯電話などにサービス提供の範囲を増やしていき、それらを統合するオープンプラットフォームの構築を目指している。また、ユーザーは検索結果をただ眺めているわけではなく、その次の行動がある。Baiduではこの検索を使う行動プロセスを、コミュニティやCGM(Consumer Generated Media)と連携してサポートすることを考えているという。
百度株式会社では、日本独自の取り組みとして日本のユーザーに特化したサービスを開発するBaidu Labというプロジェクトも立ち上げた。「日本市場では後発なのでチャレンジしなければいけない。いろいろなユーザーニーズを反映したプロダクトをどんどん出していきたい」(舛田氏)というBaidu.jpが、今後どのような楽しい検索サービスを打ち出してくるのか、刮目して待とう。




