世界3位の検索エンジン「百度」(バイドゥ)が日本で本格始動
柏木 恵子
2008年1月23日、中国でトップシェアを誇る検索サービスの「百度」(バイドゥ、Baidu)が、日本での本格的なサービス提供を開始した。
日本での検索サイトといえば、Yahoo!とGoogleの2強がシェアの7~8割を占めている。それらに不満を感じているというユーザーもあまりいない。そして、百度を知っている人はほとんどいないと言っていいかもしれない(実は、日本向けのサービスを2007年3月に開始している)。そのような環境にあえてチャレンジする百度とは、どのような検索エンジンなのだろうか。
百度―Baidu.com―はGoogle、Yahoo!に次ぐ
世界第3位の検索エンジン
検索サービスとしての百度(Baidu.com)は、中国本社である百度公司の総裁兼CEOロビン・リー氏が、米国留学から帰国後の2000年に設立し、2005年にはNASDAQへの上場を果たしている。
現在、中国での検索サイトにおけるシェアは7割でGoogle中国版(谷歌)、Yahoo!中国版(雅虎中国)を抑えてトップ。ワールドワイドでもGoogle、Yahoo!に次ぐ第3位の位置を占めている。特に人気があるのは、音楽(MP3ファイル)や画像、動画といったエンターテインメント系の検索サービスだ。

百度公司総裁兼CEOのロビン・リー氏は、検索エンジン市場での百度の位置づけについて説明を行った。
百度が中国で成功したことについて、懐疑的な見方があるのは事実らしい。曰く、中国では検閲があるので、それに協力している中国企業が成功するのだろうとか、政府の支援があるのだろうといったものだ。しかし、ロビン・リー氏は、「検閲を受け入れるということは提供する情報が減るということ。それではユーザーの満足度が下がるので支持を得られるはずがない。また、中国でも2位3位の検索エンジンは米国製のものであり、中国企業が優遇されているというわけではない」と否定する(実際、中国でのGoogleのシェアは増加傾向にある)。また、中国では守られていないと兎角の話題となる著作権についても、「中国でも著作権関係の訴訟は起きているし、不正なリンクは外している」という。
これらの話は、リー氏自ら切り出したもの。いかに同様の質問が数多く寄せられているかが想像できる。
百度の製品開発における信念は以下の4つだという。
- Go local(現地市場に目を向ける)
- Service ther users(ユーザーに向けたサービス)
- Popular products(人気のある製品を)
- Market Driven(市場を重視)
これらの意味するところを聞いていくと、Yahoo!やGoogleを強く意識していることも透けて見える。
最先端技術や先鋭的なカッコよさより
一般大衆に分かりやすいことを重視
まず、「Go local」とは、グローバル化よりもローカル(現地)最適化を重視するという意味だ。日本でサービスを提供するなら、日本のユーザーの求めるところを研究し、それに最適化する。世界中のユーザーに認められるように努力するのではなく、地域ごとに最適なサービスを開発するという。
「Service the users」は、ユーザーのニーズを満たすための開発を行うということだが、これだけ聞くと当たり前のように感じる。実はこれは、ソフトウェアやサービスの開発者の中には、IT業界の巨人(たとえばマイクロソフトのような)を倒すことに血道を上げる人々が少なからずいるということに対するアンチテーゼだ。
また、「Popular products」は大衆に受け入れられる製品開発ということだが、この対局にあるのは、Cool products(カッコいい製品)だ。つまり、多くの人が求めているのはカッコいい検索エンジンではなく、誰にでも使いやすい検索エンジンだというわけだ。そして「Market Driven」に対するのはTechnology Driven(技術を重視)である。最新技術を見せびらかすのではなく、市場の声に耳を傾けた製品開発を行うという。

日本法人である百度株式会社代表取締役の陳海騰(ちん かいとう)氏(左)と百度公司社外取締役の出井伸之氏(右)。
そんな百度が、最初の国外進出のターゲットとして選んだのが日本だ。その理由として、技術的には、同じ2バイト文字の文化圏であることが強みになると考えている。そしてもちろん、第一に挙げられるのは日本が経済大国であり優良なマーケットであるということだ。ただし、当面はユーザー獲得のためのトラフィックと認知度の向上をメインとした活動になり、広告収入でビジネスとしての結果を出すのは2010年と予定している。
日本向け検索サイト「Baidu.jp」本格オープンの記者発表会で登壇した百度公司社外取締役の出井伸之氏(元ソニー会長)は、「Baidu.jpのスタートで中国と日本の距離が縮まる。これから中国進出を考える企業も多く、時宜を得た日本進出だ」と述べた。折りしも今年は北京オリンピックが開催される。一般的に中国への興味が盛り上がるという期待もあるのかもしれない。

日中の代表者がそろっての記念撮影。テレビなどの報道機関も多数詰めかけ、百度への高い注目度がうかがえる会見となった。





