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ネット社会を考える

井芹昌信

2005年4月から2006年3月までの1年間、井芹昌信が『INTERNET magazine』(当時はまだ月刊誌)の編集長としてネットと社会との関係をテーマにまとめた熊本日日新聞の連載コラムより転載。

今回は、インターネットを使う上で多くのユーザーにとってなくてはならないに存在となった検索エンジンについて。


※この記事は2005年11月21日に掲載されたものです。文中に出てくる社名、サービス名、その他の名称は当時のものです。

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これまでの連載で書いてきたように、インターネット上にはすでに膨大な情報が蓄積されている。しかし、その中から自分に必要な情報を取り出せなければ実際の役には立たない。通常、インターネット上のウェブ(ホームページ)から情報を取り出すには「検索エンジン」を利用する。検索エンジンもウェブの一種だが、世界中のウェブからお目当ての情報を選び出す機能を持っているのが特徴である。

検索エンジンで有名なのは、Yahoo!だ。Yahoo!はインターネットの黎明期である1995年に米国でスタートし、その使いやすさから一気に世界中に浸透していった。その他、NTTグループが運営している日本製のgooなどがあり、用途により2~3種類を併用している人が多いようだ。世界的にみれば数十種類はあるだろう。

ここで、検索エンジンの仕組みについて少し触れておきたい。検索エンジンは、「クローラー」というプログラムロボットを使い、あらかじめ世界中のウェブを調べ尽くしており、それらのコピーを常に手元に持っている。つまり、いまや何十億ページといわれるウェブ情報のかなりの部分を自社のコンピュータに抱え込んでいるのである。そして、それらの情報を利用者の検索に備えて、コンピュータ的に最適な形で分類(インデックス化)している。このため検索エンジン各社は、超巨大なハードディスク容量と高速なコンピュータシステムを配備している。

実際に私たちが利用する際は、探したい情報に関連するキーワードを入力する。たとえば、熊本日日新聞社のウェブを探したいなら、「熊日新聞」という文字列を入力すればいい。検索エンジンは、前記したようにあらかじめ収集しておいた情報から、それを瞬時に探し出し、一覧表示してくれる。

だが実際、Yahoo!で「熊日新聞」を検索してみると、2万件以上のページが該当してしまう。なぜなら、検索エンジンはあくまでキーワードの有無を見ているだけで、熊本日日新聞社のページを知っているわけではないからだ。ときには、関係ないゴミ情報も一緒に表示されてしまう。このゴミをいかに出さずに、利用者が本当に求めているだろうページを検索できるかが、検索エンジン各社の腕の見せ所となっている。ちなみにYahoo!では、熊日新聞のウェブがちゃんと一番先頭に表示される。

現在、検索エンジンでその精度がもっともいいと評されているのはGoogleである。開発元の米グーグル社は自社の使命を、「世界中の情報を体系化し、アクセス可能にすること」と位置づけており、事実、商品情報、画像、テレビ番組、地図なども検索できる。最近、全地球の衛星写真を検索可能にし、ニューオリンズのカトリーナ被害の様子を公開して、業界の話題をさらった。

ところで、いかに検索エンジンが高機能化されたとしても、所詮、機械がやることには限りがある。目的にたどり着けるかどうかは、利用者の検索リテラシー(使いこなし力)に大きく左右される。例を示せば、「小泉 靖国 中国」というようにキーワードを並べれば、「小泉首相の靖国参拝と中国」に関するニュース記事の一覧が表示される。また、「靖国問題」と入力するより、「靖国問題とは」とするほうがより確実に目的にたどり着ける。

最後に、一度、自分の名前を(フルネームで)検索してみることをお勧めしたい。もし、(同姓同名を除き)100個以上あればネット世界で少し名が知れている人だが、逆に1件もなかったら、それはネット世界の「住民台帳」に登録されていないことを意味している。つまり、あなたはネット世界には存在しないということだ。「いつも見ているのにどうして?」と思うかも知れないが、それはあなたがネットを閲覧をしているだけで、生産的な活動をしていないからなのだ。たとえば、掲示板に意見を書き込むことでもいいし、ブログに書くのでもいい。何かしらのメッセージと共に名前がネット上に記録されていれば、きっと検索エンジンはあなたをネット世界の住人として見つけてくれることだろう。


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くまにち.コム(熊本日日新聞ウェブサイト)

井芹 昌信(いせり まさのぶ)
株式会社インプレスR&D代表取締役社長。1981年4月株式会社アスキー出版(現株式会社アスキー)入社、書籍編集部編集長、出版技術部部長、電子編集推進室室長、理事。1992年4月株式会社インプレス設立、取締役。2006年4月より現職。『インターネットマガジン』(1994年)、『できるシリーズ』(1994年)、『IMPRESS Watch』(1995年)、『インターネット白書』(1996年)などを創刊編集長として手がける。