フラッシュドライブ採用で高速化を図ったユニファイドストレージ
高い性能要件を求める基幹系システムでの利用を想定する。Oracle DatabaseやMicrosoft SQL Serverを用いたOLTP環境においては、ハードディスクで構成したVNXに比べてパフォーマンスは約10倍向上する。トランザクションを処理するのにかかるコストは、従来に比べて8割削減できるという。
フラッシュドライブの容量は100GBと200GBから選択して利用でき、サーバーとの接続は転送速度が6GbpsとなるSASインタフェースを標準で備える。
価格は個別見積もり。なお、ディスクの搭載密度を高めるシャーシも提供を開始した。4Uサイズあたり60台のディスクを搭載し、フラッシュドライブのほか、SASディスクなどを搭載可能。SASディスクなどを組み合わせることで1.6PBのデータを格納できる。 (折川)
“ソーシャルエンタープライズ”の本質を聞く
(聞き手は本誌編集長 田口 潤)
─ソーシャルエンタープライズとはどんな企業を指すのか。
フー:ソーシャル化したコラボレーションやテクノロジーをすべての側面で用いる企業がソーシャルエンタープライズと言える。これにより企業は、これまで以上に生産性や革新性を高められる。ただし、全社ですぐに始められるというわけではない。ソーシャル化する上で、どのくらいのスピードで進めるべきか、どの部門からスタートすべきかを検討して取り組む必要がある。
─TwitterやFacebookなどのソーシャルメディア、あるいはセールスフォースが提供するChatterを活用すれば、ソーシャルエンタープライズとなるのか。そうでないなら何が必要か。
フー:もちろん答えはノーだ。企業のソーシャル化は、それらを導入するだけでは成し得ない。Chatterの場合、生産性や革新性を向上するための手段でしかない。それ以上に、企業の透明性やオープン性が不可欠で、そのためには既存の企業文化や風土、組織構造の変革を伴うだろう。
─特に大企業の場合、誤解を恐れずに言えば古い文化や社風が根強く残る企業が少なくない。そうした企業はソーシャルエンタープライズという考えを受け入れにくいのでは。
フー:日本企業の方々と話していると、変革の重要性を強く認識し、変革を切望しているように感じる。現状を打破するための突破口を模索しており、ソーシャルに活路を求めるケースも見られる。今日の顧客はFacebookやmixiといったソーシャルサービスを活用するのが当たり前で、顧客の状況を的確に把握するためには企業もソーシャルメディアを活用するのが自然の流れである。日本企業は、ソーシャルエンタープライズをこれまでの文化を変えてしまう脅威と捉えず、新たなアイデアを生む希望として向きあって欲しい。
─企業はソーシャルエンタープライズにどう取り組むべきか。
フー:まず社内の従業員間でソーシャルメディアを体現すべきだ。実際にソーシャルの力を知りえなければ、ソーシャルメディアを使って顧客との関係を強化することは難しい。
企業のソーシャル化は経営層によるトップダウンで取り組むものではない。従業員がTwitterやFacebookなどを活用するケースは多く、ここではすでに変革が起き始めている。こうしたボトムアップで変革を生む土壌を大事にすべきだと思う。
ニュースフラッシュ 新製品・サービス編(2012年2月号)
セキュリティ機能を標準で備えるクラウド型メール
サイボウズは2011年12月19日、クラウド「cybozu.com」経由で提供するメールサービス「メールサーバー on cybozu.com」を発表した。ウイルススキャンや迷惑メールフィルタなどのセキュリティ機能を標準で備える。cybozu.com上で稼働するグループウェア「Office」や「ガルーン」とシングルサインオンでログインすることも可能。月額料金(税別)は1ユーザーあたり300円。
サーバー16コアプロセサを搭載する高性能サーバー
日本HPは2011年12月20日、AMDの16コアプロセサ「Opteron 6200シリーズ」を搭載するサーバー5機種を発表した。ブレードサーバー「HP ProLiant BL685c G7」の場合、プロセサを最大4基搭載し、メモリー容量は最大1TBとなる。Opteron 6200は従来の6100に比べて、整数演算で23%、浮動小数点演算で13%の性能向上が見込めるという。価格(税込)はBL685cが125万1600円など。
アプリケーションサーバースマートデバイス用のWebアプリを開発可能に
富士通は2011年12月20日、アプリケーションサーバー「Interstage Application Server V10.1」を発表した。Java EE 6をサポートし、旧バージョンであるJava EE 5で開発したアプリケーションも含めて同時に実行できる。スマートデバイス用の開発フレームワークも用意し、iPhoneなどに対応するWebアプリケーションの開発も可能。価格(税別)はStandard版が1プロセサあたり55万円から。
ストレージUPSを標準搭載するストレージ
日立製作所は2011年12月21日、OSに「Windows Storage Server 2008 R2 Standard」を搭載するストレージ「HA8000/NS10 内蔵UPSモデル」を発売した。中小企業向けにファイル共有やデータのバックアップ用途を想定する。UPSを標準で搭載し、停電時の動作は専用管理ソフトで設定できる。Active Directoryとの連携も可能。価格(税込)は44万9400円から。
就業管理従業員ごとの就業形態を把握し労働時間の適正化を支援
ピー・シー・エーは2011年12月21日、中堅・中小企業向けの就業管理ソフト「PCA就業管理X」を発表した。夜勤やフレックス、変形労働時間制などのさまざまな就業形態をサポートし、従業員に応じた勤務状況を把握しやすくする。残業代や各種手当を算出する機能を備え、同社の給与計算ソフトと連携することで、給与の算出作業を効率化できる。価格(税込)は26万2500円から。
クラウド移行支援Javaアプリケーションを短期間でAzureに移植
ブレインハーツは2011年12月21日、Javaアプリケーションをマイクロソフトのクラウド「Windows Azure」へ移植するサービス「Java MO Azure」を発表した。Javaアプリケーションの稼働環境をAzure上に独自開発し、.NETでシステムを構築し直すことなく移植できるようにした。Azure上の.NETアプリケーションとの連携も可能。価格(税込)は105万円から。
アプリケーション運用・保守アップグレード時に影響を受けるプログラムを特定
SCSKは2011年12月21日、ERPパッケージ「Oracle EBS」のアップグレードを支援するサービス「AMOスマートソリューション for Oracle EBS」を発表した。システムコード解析ツールを用いることで、アップグレード時に影響のあるプログラムなどを特定。修正やテストにかかる時間の短縮を見込める。運用・保守も代行する。価格は個別見積もり。
ライフサイクル監視IT機器の導入計画から運用、回収までをサポート
リコーは2012年1月5日、IT機器のライフサイクルを管理する「マネージドITサービス」を強化した。PCやネットワーク機器に加えて、スマートデバイスなどの導入、運用代行、保守、回収までをサポートする。IT機器やソフトウェアの資産情報をクラウドで管理するサービスなども用意し、これらを選択利用できる。価格(税別)は、スマートデバイスのキッティングサービスが1台あたり3400円からなど。
ディザスタリカバリ非常時に備えた代替システムを短期間で構築
日立ソリューションズは2012年1月10日、ディザスタリカバリソリューションを発表した。障害発生時の代替サーバーをクラウドサービス「SecureOnline」上に構築し、データはファルコンストアのバックアップソフト「FalconStor CDP」を使って保存する。両者をワンストップで提供することで、システム復旧環境を短期間で構築できる。価格は個別見積もり。
ディスプレイ会議用途に適した大画面タッチディスプレイ
シャープは2012年1月10日、80V型の業務用タッチディスプレイ「BIG PAD」を発表した。専用ペンを使って電子黒板として文字などを書き込めるほか、明るい部屋でも画面が見やすいことから、プロジェクタやテレビ会議用モニターとしての用途も見込む。タッチ操作により画面の拡大/縮小やページの切り替えが可能で、プレゼンテーションにも有効。価格はオープン。
スマートデバイス管理PC、Android OS/iOS搭載端末を一元管理
クオリティソフトは2012年1月13日、PCやスマートデバイスを管理するサービス「ISM CloudOne」の新版を発表した。PCやAndroid OS搭載端末に加え、新たにiPhoneなどのiOS搭載端末を管理対象にした。App Storeでのアプリ購入やYouTubeの閲覧、カメラの起動などを制御する。端末紛失時には遠隔から操作をロックしたり、データを消去したりできる。月額料金(税別)は1台あたり700円。
文書活用iPad上でPDFに手書きメモを挿入
キヤノンマーケティングジャパンは2012年1月18日、iPad向けの文書閲覧用アプリ「Smart Browse Print」を発表した。同社のクラウド型文書管理サービス「C-Cabinet」などに保存するPDFをiPadで表示できる。ファイル上に手書きメモを記入したり、特定のプリンタで印刷したりする機能を備える。月額料金(税別)は5台使用時で3000円から。C-Cabinetの利用料が別途必要。
ニュースフラッシュ ユーザー事例編(2012年2月号)
セイコーエプソン、社員の健康管理にクラウド活用
健康健診やストレス診断など社員の健康管理に関わる情報を一元管理する。健康管理部門から社員に向けた情報提供なども予定。2012年4月から全面稼働を開始する。対象となるのはグループ社員のうち1万8000人。将来的には利用範囲を国内全グループ企業まで拡大することも視野に入れる。サービス利用開始までの期間や運用コストなどの観点でNECの「elegant-HC」を採用した。 (2012/1/11)
クラウド、コールセンターコナミデジタルエンタテイメント、コールセンターを強化
問い合わせ対応業務の効率化を図るためシステムを刷新した。ライトナウ・テクノロジーのクラウドサービス「RightNow CX」を採用。新システムでは電話やメールだけでなく、スマートフォンやタブレット端末からもチャットなどでコンタクトできる。顧客情報や問い合わせ内容を一元的に管理する体制を備え、顧客満足度の向上や対応コストの削減を目指す。 (2012/1/6)
地銀共同センター池田泉州銀行、合併後のシステム統合を完了
2010年5月に池田銀行と泉州銀行が合併して誕生した同行が進めていたシステム一本化作業をこのほど完了した。旧池田銀行が利用していた地方銀行・第二地方銀行向け「NTTデータ地銀共同センターシステム」に片寄せした。今回の統合によって、営業店舗における審査フローなどの事務作業を標準化。作業効率やサービス品質の向上とシステムコスト削減などを実現できるとしている。 (2012/1/4)
データセンター日本生命、データセンターの空調消費電力を20%削減
データセンター内のサーバーが取り込む冷気と吐き出す暖気を分離し、ラック内のIT機器間の隙間をパネルでふさぐなどして空調の運転効率を向上させた。2009年にも第一弾として空気の流れを効率化する取り組みをしており、今回はさらにきめ細かい改善を施した。一連のプロジェクトで、空調の消費電力削減を約4割削減している。IBMの気流制御ソリューションを利用した。 (2011/12/28)
クラウド大沼、業務システムを自社開発からクラウドに移行
山形県で唯一の地元資本を貫く1700年創業の老舗百貨店。従来は、自社独自の業務システムを構築、運用していたが、維持管理コストが負担となっていた。新システムには日本NCRが開発した地方百貨店向けクラウドサービスを選択。コスト削減と経費の平準化、システムの管理・運用業務からの解放、業務の共通化などの効果を期待する。2012年秋の稼働開始を予定。 (2011/12/27)
管理会計システム三越伊勢丹ホールディングス、管理会計システムを構築
迅速かつ的確な意思決定を支援する経営基盤として管理会計システムを構築した。合併に伴うシステム統合・刷新の一環。新システムは各店舗、およびグループ全体での収益管理を担う。日本オラクルの予算計画と実行管理のアプリケーション「Oracle Hyperion Planning」を採用、プライスウォーターハウスクーパースが構築を支援した。 (2011/12/24)
ストレージ新宿区、本庁・分庁約160拠点を結ぶイントラを刷新
シンクライアントとして使うPC2600台、プリンタ320台、ネットワークスキャナ200台を接続する情報基盤を刷新した。仮想化技術を適用し、ゲストOS上で動作するアプリケーションはそのままにハードを頻繁に変更できるようにした。データ量の増加に伴いI/O速度に遅延が生じていたストレージも刷新。マルチベンダー対応やパフォーマンスを評価し「EMC Symmetrix VMAX」を採用した。 (2011/12/21)
ロードバランサーYahoo! JAPAN、Webサービスのインフラを強化
Webサーバーやアプリケーションサーバーなどのインフラを強化した。月間約522億ページビューに達するWebサービスを運営する同社では、トラフィックやコネクションのピークに合わせて、常にシステムインフラの見直しを続けている。ロードバランサーには、Yahoo!独自の要件に追加開発で対応したA10ネットワークスの「AXシリーズ」を採用している。 (2011/12/21)
バックアップパラカ、バックアップ・リカバリシステムを刷新
駐車場の運営・管理を手掛ける同社では、BCP対策の一環でバックアップ、リストア環境を東京本社から大阪支店に移設。双方のデータセンターを繋ぎ、効率的なバックアップ・リストアを実現する仕組みが必要だった。仮想化対応や操作性などの要件を満たしたノベルの「PlateSpin Forge」を選択。刷新後は、フルバックアップから差分バックアップに切り替え、毎日の作業を80%削減した。 (2011/12/21)
会計システムTOA、グループ企業を繋ぐ連結会計システムを構築
業務用音響・映像機器メーカーとしてグローバルに事業展開する同社。従来は、海外グループ企業18社の決算データをExcelを使って収集していたが、連結作業にかかる期間や精度に問題があったためシステムの刷新に踏み切った。制度連結と管理連結の一元処理機能やIFRS対応機能を評価し「SAP Business Objects Financial Consolidation」を採用。TISが構築を担当した。 (2011/12/20)
デリバティブ統合管理住友信託銀行、デリバティブ管理システムをリプレース
中央三井信託・中央三井アセット信託との三社合併を2012年4月に控え顧客サポート、リスク評価、新商品開発の強化を期するため新システムを導入した。デリバティブ取引の業務全般をカバーするシンプレクス社のパッケージ「PRISM」に、GPUを用いた高速分散処理機能を実装。既存システムの約20倍の処理能力を実現した。迅速かつ精緻なリスク評価と値付けが可能となった。 (2011/12/20)
クラウドヤオコー、店舗系システム基盤をクラウドで刷新
埼玉県を中心にスーパーをチェーン展開する同社。店舗食品・日配品発注システムと生鮮・惣菜食品の計量器システムを運用するため各店舗に配置していた専用サーバーをクラウド環境に統合した。サーバー台数をそれぞれ1/5と1/20に削減。課題となっていた運用コストを軽減するだけでなく、新規出店に伴うシステム導入の期間も短縮した。インフラには富士通のクラウド環境を選択している。 (2011/12/13)
M2Mに注目すべき理由と勘所 PART 2
企業ITという言葉には、大きく2つの対象が含まれる。ひとつは情報システム。基幹系を中心に企業活動を支える。もうひとつは、事業の製品・サービスのIT化。機器に通信がつながり、商品にRFIDがつく。店頭にはデジタル・サイネージがあり、農産地からは生育の様子がセンサーやカメラで刻々と伝わる…。製品やサービスにITを組み合せ、新しい価値を創造する。
IT部門は長い間、情報システムを担ってきた。今では、システムだけでなく、業務プロセス全体を描き、実現を支えている。一方、製品・サービスのIT化は一般に、製品開発の発展上にあり、情報システムとは分離した形で進められてきた。当初は、IT部門が関与しない例も多かった。IT部門に担当があっても孤立しがちだった。
しかし、事業の視点で業務プロセスを見れば、そこに情報システムと製品・サービスのシステムとが揃って存在することは当然である。少なくとも、業務プロセス上に双方が位置付き、データの接点を持たなければならない。
まして、プロセスのリアルタイム性が増し、データを使ったより高度なサービスを実現するようになれば、製品・サービスと情報システムの密着度は高くなる。だからといって、情報システムと製品・サービスを直に密結合することは適切ではない。求める特性が違い、多様性や変化の頻度が異なる。
そこで、情報を基点に両者を統合し、それぞれに自律性を保ちつつ、業務プロセスの一貫性を確立するという策になる。これによって、IT部門が担う業務プロセスは顧客と事業の最前線へと広く、深く拡大する。
M2MとIT部門実は身近な「3つの関わり」
M2Mのシステムはこれまで、製品・サービス関連の取り組みが中心だった。実証実験で一部を対象に特別な体制を組むこともあった。大半のIT部門にとって、M2Mは縁遠い存在だ。
しかし、製品・サービスのシステムが業務プロセスに一体化するように、M2Mのシステムも業務プロセスに位置付く。IT部門にとっては、M2Mのシステムを直接担当するか否かに依らず、M2Mは「プロセスを描けば自ずと入ってくる」対象なのである。
M2Mの方も変化している。かつてはマシン間をつなぎ、データを集配信し、効率的に運用をするといった限られた用途にとどまっていた。これなら、マシンの延長線で考え、必要部分を情報システムと連動するだけでよい。しかし今は、M2Mの実現像は多様で、事業と強く結びついている。それだけ業務プロセスとの関わりは強く、情報システムの技術との共通性が高い。
今日、M2MはIT部門にとって案外身近で、重要度の高いテーマである。IT部門とM2Mの間には、大きく3つの関わりがある。ひとつめは、ここまで述べた「業務プロセスとの関わり」。事業の視点で業務プロセスを描けば、M2Mはその一部に含まれる(図2-1)。
事業視点でプロセスをみるとそこには業務システムだけでなく、人手や外部との連携など複数種の機能が含まれる(1)。M2Mはその一部であり、業務プロセス全体を効率化し、業務品質を高める武器となる。IT部門にはこの他にも、②M2Mのデータとシステム基盤、逆に、(3)アプリケーションの新しい入出力としてなど、複数のM2Mとの関わりがある。
これはWeb上の顧客向けサービスが業務プロセスに含まれるのと限りなく近い。自動販売機のM2Mを考えるとよく分かる。事業の最前線にあって、発生時点でデータを入力し、サービスを受ける。機能とシステムの位置づけが等しい。ただし、動作の方向性やデータ処理の所在はそれぞれに異なる。
人が関与せず、センサーで状態を探知し通知するとか、マシンがデータに基づき自律的に動作をする例も全体像で見ると同様の位置づけになる。
2つめは「マシン側からの関わり」だ。従来からのM2Mの取り組みに、情報システムの技術を合流する。現在のM2Mはインターネット上にあり、そのシステム構成はモバイルのシステムに等しい。セキュリティや認証、通信帯域、データ処理、冗長性などモバイルで課題となることはそのままM2Mでも争点となる。当然、M2Mの経験が情報システムにも活きる。データ関連などの共有や統合が必要な部分もある。
逆に言えば、M2Mの進行には情報システムで培ってきた技術と資産が役に立つ。M2Mを踏まえ、企業全体の基盤をどう描き、M2Mをどこに位置づけるのか。人材を含むIT資産の最適化には、IT部門の役割が大きい。
M2Mのシステム構成技術の進化がM2Mを加速する
3つめは、情報システムの「デバイスとしての関わり」である。アプリケーションの入出力として、M2Mを適用する。M2MにはRFIDやセンサー、カメラなどの入力方式を含む。またマシン側の自動制御や処理もある。これらを使って、人手への依存度を下げる。
情報システムにはどうしても人手による入力が要る。管理レベルを上げれば、入力負担が増す。これを重複処理の排除やEDIなどで解消してきたが限界がある。M2Mはここを乗り越える策になる。しかも、手作業では不可能な粒度と頻度でデータを収集し、人が入れない場所や場面でデータをとる。画像やセンサーの反応などデータの種類を広げることもできる。
M2Mは大がかりなシステムだけではない。アプリケーションのデバイスとして、特定部分に使う形もあるのだ。
M2Mのシステムは大きく5つの要素でできている。(1)デバイスからの入力、(2)通信とセキュリティ・認証、(3)データ処理、(4)データの分析、(5)フィードバックとアクション。
ここにきてM2Mの利用が一気に加速しているのは、技術が進化し、M2Mの実用性が高まったためだ。カメラやセンサー、位置情報、モバイル機器などのデバイス。無線通信、そしてビッグデータ。列車や設備などの制御系にも、小さくて高性能の機器とセンサーなどの精度が高まったことが寄与している。費用の低下も大きい。
しかも今は、市販の製品を組み合わせて、専用機と同等の機能を実現することができる。低価格で高機能なコンシューマ向けの機器によって、M2Mはぐっと身近なものになった。
センサーやカメラ、位置情報などの技術を手軽に取り込める。青果物のコンテナに匂いセンサーをつけ、鮮度を管理、熟成しすぎないようにアラームを発している例がある。センサーをモバイル機器につけ、サーバーと通信する。同様の取り組みは数限りない。
用途次第では、想像以上に手軽にM2Mを実現することができる。制御系などの厳格なシステムでも、プロトタイプがぐっと容易になっている。
メタボな既存システムのスリム化は実現できる? 富士通が発表した「Reshaping ICT」の考え方と実用性
こんな問題意識のもと、「Reshaping ICT」というサービスを構築中の富士通は、1月中旬に記者向けの勉強会を開催した。その名前の通り、企業が保有する既存の情報システム資産を整理統合し、リニューアルする、いわば”企業ITのメタボ解消サービス”である。富士通が企業のシステム資産を預かって運用する中で、ムダをそぎ落としたり、スパゲティ状態になっているシステムを改修するのが、基本だ。
これだけの情報だと「売上拡大を目指したサービスに過ぎず、ユーザーの利点は少ないのでは?」、「富士通が提供するクラウドの利用を促される新手のベンダーロックインだろう」、「昔からやってきているレガシーマイグレーションなどと何が違うのか」といった疑問が出てくるだろう。実際、発表会ではなく、勉強会(=説明会)だけに費用モデルなど詳細は示されなかった。しかし勉強会で富士通が述べた問題意識や内容を見ると疑問は残るにせよ、相当に考えられたサービスだと言える。以下では(1)問題意識(現状認識)、(2)サービス内容、(3)目指す効果、の順に、Reshaping ICTを見てみよう。
ICT投資の80%が保守・運用、新規はわずか8%まず(1)の問題意識から。「企業ITの役割は、かつての業務効率化やコスト削減のツールから、現在では経営判断の迅速化や顧客との関係強化を支援するものへと変わった。ところが現実には、必ずしも、そうなっていない。大きな理由が、ICT投資の大半が既存システム向けで新規向けは、わずかといったIT投資に関わる問題だ。それだけでなく、既存システムの維持や保守に人を貼り付けるざるを得ないなど、人材の高度化の面でも足かせにもなっている」。勉強会の説明役であり、富士通のSI部隊を技術、ノウハウで支援する役割を担っているサービステクノロジーグループ共通技術本部の柴田徹本部長は、こう語る(以下の発言はすべて同氏)。
柴田本部長によると、日本ではICT投資の80%が保守・運用。新規システム投資は8%しかない。海外はそれぞれ67%、14%だという。同時に、既存ICT資産のスリム化に向けて取り組みが進む仮想化やクラウドへの移行は、それだけでは大きな利点は生まれないと指摘する。「既存システムを仮想化して得られるコスト効果はあるにせよ、抜本的な変化とは言えない。下手をするとセキュリティ管理はより複雑になるし、グローバル化に求められる迅速なシステム展開も容易になるわけではない」。富士通がこう指摘する資格があるのかという疑問はさておき、指摘自体は的を射ているだろう。
では、この問題から脱却するために、富士通は何を提供するのか。つまり(2)のサービス内容は何か。まとめると「モダナイゼーション」、「成長開発」、それに「ICT投資評価」の、3つのアプローチを組み合わせて提供するという。最初のモダナイゼーションとは、ここ数年、同社がSI事業として手がけてきたサービス。既存ICTのアプリケーションやデータベースを全体を対象に、「見える化(棚卸し)」と「スリム化(統廃合)」、「最適化(標準化)」を施すものだ(図1)。

図1 Reshaping ICTでは、運用の中でモダナイズを実施、ICT基盤の最適化を支援する
Reshaping ICTの3つの中身--モダナイズ、成長開発、投資評価モダナイゼーションは要する費用を別にすれば分かりやすい話であり、「これまで実施した案件ではプログラム本数を58%削減したり、バッチジョブを1000削減するなど大幅なスリム化の事例がある」。ところがこれまでのモダナイゼーションは、SI案件のようなプロジェクト型で実施してきた。「結果として、スリム化や最適化を提案しても、機能面で”現行踏襲”が前提になるケースが大半で限界があった」。そこでReshaping ICTでは富士通が顧客のシステム資産を預かり、運用・保守する中でモダナイズするという。「そこではソフトウェアライフサイクル全般を支援するINTARFRMなどを活用する」。
それでも、これだけだと既存システムのリニューアルに留まる。そこで2番目の「成長開発」、つまり事業の変化や成長に合わせて必要なシステムを必要なタイミングで開発する必要がある。そのために、要件定義の手法である「Tri-shaping」による開発要件の構造化や管理、プロジェクト運営機能や開発基盤をクラウドサービスとして提供することによる開発のクラウド化などを提供する(図2)。「要件を事業の目標レベルから可視化し、超上流から実現手段まで一貫して管理する仕組みを提供する。それによって優先度を見極めながら、当社の開発クラウドセンターや、システムのひな形であるテンプレートなどを駆使して、必要なシステムを短期開発する」。

図2 成長開発の仕組み。プロジェクト運営基盤や開発環境、テンプレートなどを用意する
使えるサービスやシステムを利用して短期開発ちなみに開発クラウドセンターとは富士通が沼津に設置した施設。サーバーやストレージなどのシステム基盤や開発ツールがそろっているため、開発期間を短縮できるのがうたい文句。しかし当然ながら、なんでもかんでも新規開発するわけではなく、使えるサービスやシステムを利用して短期開発を目指すという。
最後の「ICT投資評価」は、企業が持つシステム資産がビジネスに貢献しているかどうかをチェックするもの。「ビジネスとICTのつながり、IT投資案件の優先順位付け、それにシステム全体の状態把握に基づく保守の優先順位付け、の3つが実施項目。例えばビジネスとICTのつながりでは、富士通のベテラン技術者がユーザー企業の営業や生産現場を観察。インタビューなども実施して、ICTがビジネス貢献できているかどうかなどの問題を洗い出す。その上で改善策を立案し、必要ならシステム開発を提案する。また保守の優先順位付けでは、Quality-Shapingと呼ぶサービスを提供する」。
この説明にある保守の優先順位付けは、ICT投資評価ではなくモダナイゼーションの一環に位置づけるべきようににも思える。だがモダナイゼーションはシステム同士を連携させるインタフェースや、画面や帳票などのユーザーインタフェース、あるいはICT基盤のモダナイズが中心。個々のアプリの内部ロジックの複雑さや規模=保守難易度は重視しないので、ICT投資評価の中に位置づけたようだ。この点も含めICT投資評価は、モダナイゼーションとも成長開発とも異なる、より投資対効果に重点を置くサービスだ。
Reshaping ICTに合わせ、自社の人材モデルもリシェイプReshaping CTを提供するために、人材モデルの変更も検討している(図3)。富士通は現在、経産省が策定したITスキル標準を元にした人材モデルを運用している。現行のITスキル標準は、プロジェクトマネジメントやITアーキテクチャ、ITスペシャリストなど、どちらかと言えば個別のシステム開発・運用に必要なスキルに軸を置いた人材モデルだ。これだけでは既存システム全体のモダナイズや、ユーザー企業が気付かない問題をも視野に入れたシステム刷新には、必ずしも適さない。

図3 IT人材(SE)の人材モデルを変えていく。富士通が持つ「43万件」(同社)の情報を各人材に提供する
一方で富士通は2007年から企業の現場に入り込んで業務やシステム上の課題を抽出し、問題解決を提案する”フィールドイノベータ”と呼ぶ人材像を定義し、育成してきた。今回の発表ではこれに加えて「ビジネスプロデューサやサービスインテグレータといった(ユーザー企業の視点から見た)ロール(役割)毎の人材像を策定。ビジネスに密着した形でのサービス提供を可能にする」という。つまりシステム構築に必要となる各種スキルを有するIT人材の提供から、事業視点でシステム全体の最適化や高度化を提案・実施する役割を負う人材の提供へ、というわけだ。
ここで「そんな高度なIT人材が存在するのか」、「既存のIT人材をそうした人材に転換できるのか」、という疑問が出てくる。当然、そうはいかず、例えばフィールドイノベータは2011年でまだ350人の体制。既存のIT人材の高度化を進めながら、経験やスキルを見て新たな高度人材を任命・育成するしかない。「新たな人材に関して、大事なのは目利きの力。製品やサービスに関するノウハウや情報、事例など、当社が有するコンテンツを適切に提供する体制を整えている」。
加えて開発系のIT人材が不要になるわけでもない。業務系システムの受託開発という従来の仕事は減少するにしても、モバイルソリューションやM2M、クラウド活用やソーシャル対応、ビッグデータ、Webマーケティングなど、新たなIT案件の拡大は見込める。一部報道ではすべてのIT人材(SE)をロールに基づく人材に転換するかのような見方もあるが、それは正しくないのだ。ただし、こうした案件をこなすIT人材に関わる方針については、今回の発表会では言及されなかった。
Reshaping ICT後の「ToBe」モデルが求められるここまで読んでいかがだろうか。個々の企業毎に状況の異なる既存ICT資産にスポットを当てるだけに、抽象的で分かりにくい面があるし、「INTARFRMやTri-Shapingなど、これまで個別に提供してきたサービスをうまくまとめただけ」に見えることも否めない。後述する課題もある。
しかし、ともすればスマートデバイスやクラウド、ビッグデータなど、関心を惹き付けやすい新しいITに関する製品や技術・サービスに焦点を当てがちになる中で、それらの新しいITを利活用するためにも既存の資産をリニューアルすべきという考え方と、そのためのアプローチを地道に整備する姿勢には好感が持てる。このことはIT Leaders 2011年10月号特集「企業ITのグランドデザイン」で示したこととも共通する。
一方でReshaping ICTにはもう一段、完成度のステージを高めるて欲しいなど課題もある。モダナイぜーションや成長開発の先にある「次世代のシステム像(To Be:あるべき姿)」を明示していないことがその1つだ。例えば変化対応力を高めるための疎結合化や、複数システムをまたがるビジネスプロセスの支援、企業システム全体を貫くデータ基盤。あるいはスマートデバイスを端末とするためのユーザー・インタフェースの抽象化、基幹系のリアルタイム化、ソーシャルメディアと基幹系連携、パブリックサービスとプライベートシステムの柔軟な連携など、今日の企業ICTへの要求項目は多い。仮にReshaping ICTに則った場合、こうした要求に応えられるシステムになるのか、現時点ではそのイメージは得られない。
透明性の高い料金モデルの提示、タイムフレームの明確化も重要だ。Reshaping ICTを利用する場合、富士通のIT人材の料金はこれまで同様、月額課金なのか。そうだとすると富士通側には時間をかけ、開発案件を増やした方がいいというインセンティブが働く。逆によくあるアウトソーシングのように年間、あるいは複数年で料金を固定すると、できるだけ何もしない方がよいことになる。難度は高いが、ユーザー企業と富士通双方にとってWin-Winになる料金モデルが必要だろう。
アメーバ経営のノウハウ活かし連結経営管理をトータルで支援する

- 佐々木 節夫 氏
- 京セラコミュニケーションシステム株式会社
専務取締役 ICT事業統括本部長 - 1981年、早稲田大学理工学部を卒業し、京セラ株式会社に入社。米国勤務など要職を歴任。95年、京セラコミュニケーションシステム設立時に出向し、新規システム開発事業部長に就任。2008年に専務取締役 ICT事業統括本部長に就任し、現在に至る

- 中澤 進 氏
- 日本CFO協会主任研究委員
- 1971年、日本IBM入社。経理・財務部門の業務改革、管理会計、内部統制分野でのコンサルティング及び会計システムプロジェクトの実績多数。2002年、IBMビジネスコンサルティングサービス株式会社取締役に就任。2007年、中澤会計情報システム研究所を設立。同年よりアロウズコンサルティング顧問に就任。日本CFO協会主任研究委員、早稲田大学WBS研究センター特別研究員も兼ねる。
中澤:KCCSが満を持して投入した業務ソリューションということで注目しています。新たな事業領域の開拓でもありますね。
佐々木:システムインテグレーション(SI)を主軸に事業を展開してきた当社ですが、昨今はスクラッチ開発からパッケージを利用したシステム構築への移行や、国内景気低迷による情報化投資の伸び悩みなどが顕著で、新たなソリューションやサービス事業を開拓する必要性に迫られていました。
そこで原点に戻って検討したわけです。我々ならではの強みとしては、京セラの“魂”であるアメーバ経営についての知見や、製造業を中心に長年蓄積してきたIT化の実績とノウハウがある。これらを活かす形でソリューションに結実させたのが、GreenOffice Profit Managementです。アジアを中心にグローバル展開する製造業を筆頭に、さまざまな業種をターゲットにしています。
すべてを自社開発することにはこだわりませんでした。すでに世の中に良いものがあれば、それを活用するのが賢明です。そこで日本インフォア・グローバル・ソリューションズさんとの協業を進めました。具体的には、同社のERPパッケージ「Infor10 ERP Enterprise」やBI製品「Infor10 BI」です。製造業の特質を理解して機能を実装していますし、中間データの収集・利用が可能な点も魅力的でした。これらに当社なりの業務管理機能を付加して全体ソリューションを構成しています。
インフォア製品と組み合わせる中澤:もう少し分かりやすく全体を整理していただけますか。
佐々木:ベースとなるはERPのInfor10 ERP Enterpriseで、受注/生産/会計といった事業活動を統合的に管理する基盤となります。全体最適化や業務標準化、データの一元化を図るために、必要に応じて業務改革のお手伝いをします。一方のInfor10 BIは、先のERP Enter-priseに蓄積したデータに基づいて業績を「見える化」するソフトです。
さて、当社のGreenOffice Profit Managementなんですが、これはInfor10 BI上に、アメーバ経営のノウハウをベースとした業務分析用多次元DBや各種の分析レポートを「テンプレート」として提供するという位置付けになります。目的通りにきちんと機能させるには、連結グループ共通の売上計上や経費計上のタイミング、間接部門への配布ルールなどを見直さなければなりませんが、ここは当社がコンサルティングとして提供します。
中澤:アメーバ経営と言えば、少人数のチーム、あるいは個人を対象に「時間当たりの採算」まで把握する徹底した取り組みとして知られますが、そこまで厳格な管理をするのですか。
佐々木:いえ、当社のソリューションは、そこまでの細かさの追求に主眼はありません。アメーバ経営のエッセンスを取り入れつつ、もっと汎用的な管理会計システムと位置付けています。EPM(Enterprise Performance management)やCPM(Corporate Performance Management)と言われる製品ジャンルに入るかもしれません。
ある流通業では、1店舗面積単位の収益管理を実施しているなど、その企業の業務特性に合わせた尺度で導入いただけます。もし、本来の厳密なアメーバ経営にこだわるということであれば、グループ会社のKCCSマネジメントコンサルティングがご相談に乗ります。
ノウハウ活かした導入メニュー中澤:アメーバ経営なんて聞くと、導入の敷居が高いと感じる企業もある気もしますが…。
佐々木:当社のノウハウを活かした導入メニューを用意しており、お客様と一丸となってプロジェクトを進める体制を用意しています。例えば、採算を見る組織単位の定義、プロフィットセンター/コストセンターの切り分け、KPI(重要業績評価指標)の決定といったように順を追ってサポートします。各フェーズには期限を設け、所定のアウトプットを出しながら確実に前進することを意識しています。
もちろん、部門・品目・取引先・地域などで見る標準的なレポートやダッシュボードは最初から装備していますので、そのまま導入したいという企業のニーズにもお応えできます。
中澤:京セラ流の管理会計がバックグラウンドにあるとすれば、IFRS(国際会計基準)やJ-SOX法にも、すぐに適用できそうですね。
佐々木:ここで本質的なことは、現場の収益認識が狂えば、決算の数値の意味は大きく異なるということです。決算数値の“表面”を見るだけでは、経営の実態は分からないということを認識しなければなりません。
中澤:そうですね。IFRSが求めているのは単なる制度対応ではなく、計上基準や収益認識を明確化しろ、ということです。それは現場のオペレーションの標準化にもつながる話です。
佐々木:当社のソリューションに話を戻せば、現場の業務統制をシステムによって効率化するとともに厳格さを担保しています。IT業務統制にも通じますし、J-SOX法にも充分対応できます。
中澤:今、製造業はアジアを中心に海外展開が加速しています。グローバルなサポートが重要性を増しますね。
佐々木:まず、製品自体の機能強化を急いでいます。例えば、海外関連会社間取引の明細管理や積送品など物の動きの正確な管理、さらに各国通貨への対応といった機能を順次提供できるよう準備を進めています。
サポート面では、上海にある当社グループの現地法人に加え中国本土の営業拠点についても、常駐スタッフをさらに増員していく考えです。さらにパートナーである日本インフォア社を通じて、一気通貫のグローバルなサポート体制構築への協力要請も行っています。
中澤:経営陣、経理、情報システムなど部門を横断した理解・協力がないとなかなか上手くいかないですね。
佐々木:確かに簡単な話ではありません。ITで経営を変えていくんだという気概を持った人にアプローチすることが欠かせません。もっとお客さまの所へ伺って、現場の実情や本当の問題点など経験知を増やしていくことが、まずは重要だと思っています。
中澤:最後に販売目標について教えていただけますか。
佐々木:初年度4億円の売上を目指しています。システム導入コンサルから製品導入、運用管理までをカバーするのが基本。データセンターも保有しているので、ここへのアウトソースでトータルサービスとしてご利用頂くことも可能です。事例をこつこつ積み上げていきたいと思います。
社内外に散在するデータを一元管理するプラットフォーム
ただし、多くの企業にとっての課題はもう少し手前にあるようだ。例えば、対象となるデータを収集する、あるいは処理に適したフォーマットに整形するといったプロセスは、実際の分析に着手する前の関門。そうした当面の課題を解決する手段となりそうなのが、2011年12月にHPが発表した「IDOL 10」だ。
構造化、非構造化を問わずあらゆるデータソースに接続IDOL 10は社内外に散在するデータを一元的に管理、活用するためのプラットフォーム。ベースとなるのは2011年10月に買収した英オートノミーの分析エンジン「IDOL(Information Data Operating Layer)」だ。テキストや画像、音声など非構造化データの処理に強みを持つ。
ここに、同年3月に買収した米ヴァーティカの「Vertica」が持つ構造化データの高速処理技術(独自のカラム型DBのノウハウがベース)を統合。これによって多様なデータを一元的に扱えるようにした。現時点ではリリース時期は未定。同製品をインストールしたアプライアンスの提供も予定している。
IDOL 10は分析対象のデータソースに接続するためのコネクタとデータを取得・処理するための機能の2つで構成する(図)。
コネクタを使って接続できるデータソースは400種類以上。ソーシャルメディアやブログへの書き込みなどの非構造化データはもちろん、Oracle・SAPなど主要ベンダー製品やODBC準拠のRDBMSもサポートする。
分析する都度、オリジナルのデータを直接参照するため、事前にDHWなどに集約する必要はない。刻々と変化する情報をリアルタイムに取り込んだ分析が可能になる。また、既存のシステム環境に変更を加える必要がないため、分析開始までの時間を短縮できるという副次効果も期待できる。
独自開発アプリのロジックに検索エンジンを取り込むこともデータを取得・分析する方法も豊富に取り揃える。「ニュースサイトのトップページのテキストを取得する」「サーチエンジンを使って特定のキーワードを検索する」といったデータの取得に関わるものから、「音声データの内容を解析する」「データをカテゴリ別に分類する」といった処理を担うものまで約500もの機能を提供する。
専用のGUIを使った対話形式の分析はもちろん、APIを使えば他のアプリケーション内からIDOLの機能を利用することも可能だ。例えば、「自社名をGoogleで検索した際、悪評が上位にリスティングされたら管理者にメールで通知する」などといったロジックを作成できる。
通常、同様の処理を実装するためには、Googleへのアクセスや検索に関する処理をアプリケーション側に実装する必要があるが、IDOLを利用することでそれらの手間を省くことができる。
HPでは、電子データの裁判証拠提出を義務付ける米国eディスカバリー法への対応やマーケティングの効果検証などの用途から導入が進むと見ている。
「既存の情報資産を継承しつつ、全社規模で構造化データと非構造化データを一元管理できる製品は類を見ない」(日本HP 執行役員 中川いち朗氏)。 (緒方)
監査役が見る企業IT 組織風土の健全性が鍵
日本の監査役制度は明治23年の商法に端を発する。実に120年を超える歴史があり、戦後の一時期を除けば、その権限は一貫して強化されてきた。背景には、なかなか根絶できない企業の不祥事がある。直近の制度改定は2006年の会社法施行であり、内部統制の体制の整備義務が盛り込まれた。
監査役の主な役割は「業務監査」と呼ばれる、取締役による職務の執行全般に関する監査である。よく「会計監査ですか」などとと誤解されるが、そうではない。会計監査は専門の会計監査人に委ね、その方法と結果を間接的に監査しているのが監査役である。
株主の負託を受けた独立した機関としての監査役の機能が健全なら、企業の不祥事は未然に防げると考えられる。しかし実際にはそううまくはいかない。個人の資質に依存する要素が大きいことは紛れもない事実である。
経営リスクから見るIT監査役とITは繋がりが薄いと思われてきたが、今や状況は大きく変わった。経営上のリスクという視点から見たとき、情報システムに関するリスクは多いからだ。(1)システム開発の失敗、(2)システム障害、(3)セキュリティ問題の3つが、その典型例と言われる。これらに起因する問題は少なくなく、しかも増加傾向にある。それを未然に防ぐために監査役が機能しなければならない。つまり会社法上の内部統制対応のためにIT監査が必須になったというだけではなく、経営や事業運営の基盤として情報システムが使われている実態を鑑みれば、情報管理体制や効率性、法令遵守といった面からも、ITは重要な監査対象なのである。
日本監査役協会でも折に触れて、監査役のためのITシステム研修会が開催される。観点はIT統制、ITリスク管理、ITガバナンスといったもので、情報システム責任者にも勧めたい内容だ。近視眼的になりがちな情報システムを、リスク面から大局的に捉えることは必要な視点だからである。
研修会で「監査役は言いたい事を言い、聞きたい事を聞くのが仕事だ」と教えられた。これは社長や会計監査人や部門長や社員と密にコミュニケーションをとれと言うことだ。それによって経営リスクを察知し、経営執行に対して改善を促す。ITシステムも経営リスク要素の1つに他ならないのである。
健全性を計るチェックポイント日本監査役協会は、2011年8月に「監査役に期待されるITガバナンスの実践」という報告書を公開した。監査役に就いている人の多くはITに精通しているわけではない。専門的な知識がなくても、取締役がITリスクの管理や対処を現場任せにしていないかとか、経営リスクとして認識しているかなどを監視、検証することはできる。むしろ技術を離れて、IT投資の失敗が招くリスクや、事業戦略を効果的に達成できないリスクを見ることが重要であると報告書は指摘している。
その上でITガバナンスの土台は、ITの利活用をめぐる組織風土の健全性の確保にあることをチェックポイントとして具体的に示している。
- IT業務に対し、会社はその重要性に見合う程度まで、人的・物的リソースを割いていますか?
- 社長など経営トップからITの重要性に関するメッセージを発信していますか?
- T業務を担う部署に対する社内の評価は適正でしょうか?
- IT部署の社員の士気は高く維持されているでしょうか?
- 情報子会社や外部業者(ベンダー)に任せっきりになっていませんか?
これらは、日本のユーザー企業が抱える根源的な問題を的確に指摘していると言えないだろうか? 報告書はサイトからダウンロードできる。経営者も、企画部門やシステム部門やユーザー部門の幹部社員にも、一読をお勧めしたい。
- 木内 里美
- 大成ロテック監査役。1969年に大成建設に入社。土木設計部門で港湾などの設計に携わった後、2001年に情報企画部長に就任。以来、大成建設の情報化を率いてきた。講演や行政機関の委員を多数こなすなど、CIOとして情報発信・啓蒙活動に取り組む
外部から自宅のストレージにアクセス、Pogoplugがスマート端末で利用可能に
新製品の第1の特徴は、スマート端末から利用可能であること。iPhoneやiPad、Android搭載端末向けに、Pogoplugにアクセスするための専用アプリを無料で提供する。このアプリは、スマート端末上のコンテンツをPogoplug Mobileに接続した記憶装置に自動アップロードする機能を持つため、バックアップ用途にも向く。
コラボレーション機能も強化した。Pogoplug Mobile上のデータを、メールやTwitter、Facebookを通じて共有できる。ファイルやフォルダ単位でパスワードを設定し、公開範囲を限定することもできる。
さらに、ハードウェアに改善を施した。USBポートを4つから1つに減らすことなどにより、従来機に比べて40%の小型化に成功した。このほか、内部システムを再設計したことで、スループット性能を80%向上できたという。
価格はオープン。ソフトバンクBBが運営するオンラインショップでの価格は7980円を予定している。量販店などでも販売する。
一方、クラウドエンジンズは「Pogoplug Cloud」と呼ぶオンラインストレージサービスも開始した。月額料金は、容量30GBのプランが300円、50GBが500円、100GBが900円。5GBまでは、会員登録さえすれば誰でも無料である。
Pogoplug Mobileの購入者向けには別途、優遇策を実施する。2013年3月31日までに同製品を購入したユーザーは、20GBのストレージ容量を1年間無料で利用する権利を得る。ただし、有料サービスを利用しているユーザーにはこの優遇策は適用しない。
Pogoplug MobileとPogoplug Cloud上のデータには、同一画面からアクセスできる。つまり、ユーザーはデータの置き場所を意識せず、共通の使い勝手でアクセスできる。「新たな製品とサービスにより、ハイブリッドクラウドを実現できる」(クラウドエンジンズのダニエル・プッターマン最高経営責任者)。

写真 Pogoplug Mobileの概観
ネットワーク通信パケットをリアルタイムに監視 パターンファイルに頼らず脅威の兆候を察知する
特定の企業を狙った「標的型」のサイバー攻撃が急増している。シマンテックが全世界で発見した標的型攻撃の発見件数は2005年時点では週1件程度だったが、2011年には1日最大80件にまで増加した。国内でも従業員2500人以上の大企業を対象とした標的型攻撃を1日平均36.7件観測している。「従来は官公庁や軍需産業が標的になるケースが多いとされてきたが、最近は一般企業の機密情報を狙う“産業スパイ”の割合が増加している」(浜田譲治 同社シニアマネージャー)。
こうした状況を受けて、昨年秋ごろから主要セキュリティベンダーが“標的型対策”を謳った製品を市場投入し始めた。鉄壁を築くことにより、侵入されても早期に発見することを重視している。
標的型攻撃は一般に、その人や組織を信じ込ませるに十分な人物を装ってメールを送信するといった手口を使ってくることが多い。例えば上司の名で「緊急案件が発生したので添付資料によく目を通しておくように」とのメールを受信したら、多くは何の疑いもなく添付ファイルを開くだろう。ところが、その添付ファイルには、情報を盗み出すプログラムが密かに埋め込まれているのだ。最近では、未知のマルウェアや脆弱性を使うなど、攻撃の手もますます込むようになっている。
相手は一種の“ストーカー”であり“スナイパー”のような存在だ。時には社内の関係者を籠絡するなど、ありとあやゆる手を尽くして標的に対して攻撃を仕掛けてくる。こうなると、ネットワークの入り口でマルウェアを遮断するといった対策だけでは自ずと限界がある。
振る舞いや異常値に着目して見えない脅威を可視化する「狙われたら侵入もやむなし」とした上で、どう手を打つか。プリミティブではあるが、ネットワーク上の不審な挙動を「いち早く検知する」ことが基本となる。
実は「標的型」においては、攻撃開始から目的達成までにある程度の時間を要するほか、潜伏中も攻撃者との通信など特徴的な振る舞いをするため、攻撃の兆候を察知する余地はある(図1)。
では、どのような具体策を採り得るのか。新製品群が提案するのはネットワークの通信パケットを全てチェックするというアプローチだ。出入口だけでなくネットワーク内部にも監視対象を広げる。また、振る舞い分析や統計解析などのヒューリスティック技術を駆使して、社内に潜む未知の脅威をあぶりだす。
一般的な製品の仕組みを示したのが図2だ。社内ネットワークにアプライアンスなどを設置し、ミラーリングした通信パケットをリアルタイムに監視する。配置パターンとしてはゲートウェイ型とモニタリング型の2つがあるが、既存環境に影響を与えないよう後者を推奨するものが多い。
流出入経路や通信内容、仮想環境での実行結果などをチェックし、マルウェアの流入やバックドア通信がないかチェックする。疑わしい通信を検知した場合はメールなどで管理者に通知する。ゲートウェイとして配置していれば通信を遮断するなどの介入も可能だ。
専用ツールを使って、分析エンジンによる評価の結果や通信内容、通信端末などをチェック。不正だと判断した場合に対応をとる。他のセキュリティ製品やネットワーク製品との連携機能を備えたものもある。頻繁に検知される脅威については、ルールを定めて、対応を自動化することも可能だ。
「ネットワークを監視する製品はこれまでにも存在していたが、セキュリティ担当者が利用することを想定している点が大きな違い」(EMC RSA事業本部 水村明博氏)。
以下、特徴的な製品をいくつか見ていこう。
「OSS製品の強化などで、“超メーカー”になる」ーーアシスト、社長交代および経営体制の刷新を発表
「6年後の2017年に目指す姿は、“超メーカー”。商用ソフトとオープンソース・ソフトに自社のノウハウを組み合わせ、ソフトやハードのメーカーを超える価値を創造し、提供していく会社になる」--。ソフトウェア販売大手のアシストは1月11日、経営体制刷新に伴う記者説明会を開催。1月1日付けで社長に就任した大塚辰男氏は、今後6年間の中期経営計画の目標をこう掲げた。この言葉通りのことを実現できるなら、「要望されたことは何でも」型のITベンダーが多い中で、アシストは好ましい少数派に属するベンダーになるかも知れない。
例えばDBMS。アシストと言えばOracle DBであり、その普及に貢献してきた。「日本オラクルが設立される前から25年にわたって手がけてきた。その分、思い入れも強い」。だが一方で「PostgresDBや、MySQL互換のMariaDB、大規模向けの(カラム指向DBである)InfiniDBなど、OSSのDBMSを手がけていく。ユーザーのニーズは多様化し、OracleDBでは不十分なこともある」(大塚氏)。Oracleの代理店という立場から、顧客にマッチする製品や技術の提供者への転換を目指すわけだ。
ノウハウを蓄積し、得意分野を磨くために、手がけるソフト製品・技術も大きく3分野に絞り込む。上述のDB、WebFOCUSなどBI(ビジネス・インテリジェンス)やCMSの「ノレン」など情報活用製品、JP1を中心にした運用管理ソフトやLinuxなどのシステムソフトである。「(中期的に)ベンダー製品とOSSの売上に占める比率を、半々くらいにしたい。良く聞かれるが、SaaSやクラウドに関しては、クラウド事業者への支援は行うが、アシスト自身が手がけることはない。これが大方針」(同)。
今後、6年かけて、この方針を強化していく。「最初の3年は人材などの基盤作り。次の3年で顧客と利益を分かち合う日本で一番の会社にする。この6年間の中期計画を”弾丸-2017”と名付けた。文字通り、まっすぐぶれずに計画を達成するという意味だ」(同)。
アシストは未上場だが、5000社を超える顧客を持つソフト販売会社。40年前の創業以来、同社を率いてきたカリスマ社長であるビル・トッテン氏が,独立系のまま社員800人、協力会社を入れると1000人の会社に育て上げた。ビル・トッテン氏は記者説明会で「昨年、私は70歳になり、当社も昨年、40回目の決算を終えた。トップ交代のいい時期と判断した」と、円満かつ順当な経営体制刷新であることを強調した。
モノが情報発信源となる新たな価値観 PART 1
機器の振る舞いをセンシングし、そのデータをネットワーク経由で収集。業務に役立てようというM2M(Machine to Machine)への動きが活発化している。と言っても、M2Mは決して新しい概念ではない。建機やエレベータの稼働状況を遠隔監視するといった用途を中心に、10年ほど前からすでに実用が進んでいる。
ではなぜ今、改めてM2Mなのか。背景の1つは、通信モジュールの低価格化が進み、導入しやすくなったことだ。これまで、通信モジュールの価格は1台当たり2万〜3万円と高く、高額な機器でないとコスト的に見合わなかった。しかし、ここ数年でそうした状況は解消されつつある。モジュール単価は現在、1万円前後。今後さらにこうした傾向は進行し、数年後には1モジュールあたりの価格は数千円にまで下がるという見方が一般的だ。そうなれば、低額かつ大量の機器への搭載が容易になり、M2Mの普及に弾みがつくことは間違いない。
M2Mが脚光を浴びるもう1つの背景に、センサー技術の向上がある。収集できるデータの種類が格段に増え、単なる遠隔監視を超えたより高度なビジネス利用の道が見えてきた。ガートナー ジャパンリサーチ部門テクノロジ&サービス・プロバイダーの田﨑堅志バイスプレジデントは「流量や温度センサーといった従来からある技術に加えて、位置情報や加速度を検知するセンサーなどが次々に実用化されてきている」と指摘する。「各種センサーが発信するデータは、企業にとって宝の山。様々な種類のセンシングデータを組み合わせて価値を見出すことにより、新たなサービスを創出できる。M2Mは、経済の成熟を乗り越えるために不可欠なインフラになる」(同氏)。
配送中の荷物が位置情報を自ら発信こうした流れにいち早く乗り、成果を出しているのがヤマトシステム開発だ。同社は2005年、「e-ネコセキュリティBOX」を提供開始した(図1-1)。これは、通信やGPSチップなどを搭載。ネットワーク経由の監視や開閉ログの取得といったセキュリティ機能を持たせた専用ボックスをレンタルする法人向けサービスである。
開錠もネットワーク越しだ。ボックスには鍵穴がない。鍵の代わりに用いるのは、携帯電話かWebによる認証である。受取人は、荷主が事前に番号を登録した携帯電話からセンターに電話をかけるか、Web画面からIDとパスワードを入力し、認証を受ける。認証が完了すると、センターのサーバーからボックスに対して開錠信号が自動送信され、開箱可能になる。
顧客はこのボックスを利用することにより、配送業者に託した荷物の位置情報をリアルタイムに追跡できるほか、受取人を限定できる。ボックスの開閉ログもメールで受け取れる。「貴重品や機密情報を含む品物の配送を依頼する荷主にとって『いつ、どこで誰が荷物を開けたか』という情報は非常に価値が高い」(ヤマトシステム開発 セキュアトレースカンパニーの槇裕史プレジデント)。2011年には、電波の届きにくい地下などでの利便性を高めるため、ICカードによる認証機能を追加した。さらに、温度センサー付きのボックスも投入。現在、レンタル中のボックスは2000近くに上る。「このサービスを入り口に、ヤマトグループ内の別のサービス利用に至る顧客は多い」(同氏)。
M2Mをサービス拡充に生かしている先進事例をもう1つ挙げよう。JR東日本ウォータービジネスが2010年8月からJR駅構内において展開している「次世代自動販売機」は、搭載したカメラセンサーで利用者の年代や性別といった属性を判定。サーバーから高速無線通信網を通じて配信されるリコメンド用DBとマッチングし、お薦め商品をディスプレイ上に表示する(図1-2)。さらに、センサーで取得した顧客属性とPOS情報をサーバーに送信。サーバーはそれらを集約・分析してDBを更新し、自販機に配信する。利用者がいないときに、時刻や季節に合わせた広告を表示する機能も備える。現在、品川駅や東京駅などで約100台が稼働中だ。
自社サービスの拡充に向けた既存企業の取り組みのほか、M2Mそのものをビジネスの中核に据えるベンチャー企業もある。アートデータは、冷蔵庫に取り付けるセンサーを開発。その開閉データをネットワークで収集することにより、居住者の安否を遠隔地から確認できるサービスを提供している。
「M2Mは、日本のものづくりを復権する起爆剤になる」。そう期待を寄せるのは、バレイキャンパスジャパンの飯田秀正社長/CEOだ。「M2M 技術により、日本製の機器は新たな顧客サービスを生み出せる」。同社は、JAVAやAndroidといったオープン技術を駆使したセンサーやゲートウェイを開発。ベンチャー企業がより安価にM2Mサービスを始めるための基盤提供を急いでいる。
人手を介さない究極の“デジタルエンタープライズ”へM2Mは、企業ITのあり方に変化をもたらす。M2Mに関する情報交換や人材育成を目的とするNPO法人であるM2M研究会の小泉寿男理事長は「近い将来、製品や工場内の製造機器、販売什器などに取り付けたセンサーが発信するデータを社内のERPやCRMシステムにそのまま取り込めるようになる」と予測。副理事長の吉田利夫氏は「人でなくモノが発信・入力するデータに基づき業務が回る。M2Mによって、“デジタルエンタープライズ”がいよいよ現実化する」と見る。
しかしそれには、M2Mを企業ITのなかでどう位置づけるかというグランドデザインが不可欠だ。それを欠如させたまま、ユーザー任せの個別の取り組みを看過しては、企業IT全体が混乱に陥りかねない。
M2Mを理解する
- モノが情報発信源となる新たな価値観 PART 1
- M2Mに注目すべき理由と勘所 PART 2
- 通信とセンサーに見る最新技術動向 PART 3
- ベンダーが提供するM2Mプラットフォーム PART 4
2012年2月の星占い
全体運…運気は概ね安定していますが、後半からは少し下がり気味になります。ラッキーカラーはオレンジ。小物を身につけて運気アップを。 仕事運…月の半ばから運気は少し下がる傾向に。とはいえ、やりたかったことへのチャレンジは○。
おうし座(4/20〜5/20)全体運…前半はかなり運気が低迷しますが、20日以降は急上昇。ただプライベート運はいまひとつかも。 仕事運…半ばまではモチベーションも上がらず忍耐の日々。15日以降は一転し、今後のキャリア開発に役立つ明るいニュースの予感あり。
ふたご座(5/21〜6/21)全体運…前半は好調ですが、20日以降は運気が低迷。家族サービスをして運気アップを図って。 仕事運…半ば以降、何らかの苦労がありそう。得意分野を生かして切り抜けて。ただ理想の形を追い求めすぎるのはNGです。
かに座(6/22〜7/22)全体運…月の前半は運気がやや低迷気味ですが、後半は急上昇。金運や愛情運もまずます。 仕事運…15日以降は絶好調。気力も充実し、自分の得意とする分野の仕事に恵まれそう。
しし座(7/23〜8/22)全体運…1カ月を通して低迷気味。金運は悪くないのですが、散財しがちなので注意を要します。 仕事運…キャリアが広がるような興味深い仕事のチャンスに恵まれそう。ただかなりの苦労も伴うので覚悟も。
おとめ座(8/23〜9/22)全体運…全体的に運気はかなり低迷。青系の靴下かネクタイなどの小物を身につけて運気アップを。 仕事運…こちらもかなり低迷気味。海外の最新動向をこまめにチェックして運気アップを図って。
てんびん座(9/23〜10/23)全体運…前半はかなり好調ですが、20日以降は運気が徐々に低迷。何か新しいことを始めるなら前半に。 仕事運…安定しています。ただどんなに忙しくても部下への配慮は怠らないで。愛情もって接して吉。
さそり座(10/24〜11/21)全体運…前半は並ですが後半は運気が急上昇。音楽や美術など芸術に触れてさらに運気アップを。 仕事運…15日以降は好調ですが、将来につながるような仕事には出合えなさそう。地道にこなして◎。
いて座(11/22〜12/21)全体運…前半はまずまず好調ですが、後半はやや低迷。プライベートの充実が運気アップのカギ。 仕事運…意欲は高いのですが、仕事運には恵まれなさそう。異業種交流会やセミナー、学会などに参加して運気アップを。
やぎ座(12/22〜1/19)全体運…全体的に安定していますが、金運は低迷気味。金運アップのポイントは黄色の小物。 仕事運…将来につながるような大きな仕事に出合えそう。いろいろな圧力に負けずにチャレンジして吉。
みずがめ座(1/20〜2/18)全体運…好不調の波が小さいとき。金運はいいのですが、高額な買い物運はいまひとつなので控えめに。 仕事運…今後の発展を期待できるような仕事には出会えなさそう。厳しい外圧を乗り越えて吉。
うお座(2/19〜3/20)全体運…全体的に安定した月。やりたかったことにチャレンジすると満足する結果が得られそう。 仕事運…仕事には恵まれますが、いまひとつモチベーションが上がらない月。モチベアップのキーワードは「グリーン」。
2012年の注目テーマ
Webサイト作りが楽になるだけのように思えるが、何が”最大のテーマ”なのか?
「これをベースに、WebはHTML5に移行していく。するとスマートフォンの”アプリ”は不要というか、贅沢品の位置づけになる。AppleもGoogleもアプリで戦っているが、その構造がガラリと変わるのだ」という。
もう一人が神林飛志氏(ノーチラス・テクノロジーズ代表取締役副社長)。「大規模データの分散処理基盤であるHadoopのポテンシャルは大きい。2012年、その応用が進む。我々はこれを基幹バッチ処理に適用するAsakusa Frame-workを開発した。受発注や決済、与信管理などの業務データのバッチ処理を低コストで高速化できる」。こちらはすぐにでも企業ITに直結する話である。
レスポンシブWebデザインやHadoopの応用以外に注目すべきITは何か?
米ガートナーは「2012年の戦略的テクノロジ トップ10」を公表している。IT部門の視点では(1)ビッグデータ、(2)インメモリーコンピューティング、(3)超低消費電力サーバー、(4)クラウドコンピューティング。ビジネスの視点では、(5)IOT(インターネットオブシングス)、(6)Appストアとマーケットプレイス、(7)次世代アナリティクス。そして人の視点では、(8)モバイルタブレットと次世代製品、(9)モバイルセントリックアプリとインタフェース、(10)コンテキストとユーザーエクスペアリエンス、である。
まとめると「クラウド」「モバイル」「ビッグデータ」と、これらから派生する技術が重要性を増すという見方である。
ITリーダーにとって、これらの技術を理解し、自ら取り組むことは大切だが、それには前提があると思う。企業情報システムのあり方やグランドデザインを、改めて考えることだ。2012年1月5日に放送したITLeaders Live!(第24回)では、「2012年を展望する−企業IT10の課題」というテーマで、この点を本誌アドバイザーの桑原里恵氏に聞いた。
詳細は、本誌Webサイトから辿れるアーカイブ版をご覧いただきたいが、「利用者視点、全体観が大切」、「全体における個、個から見た全体が重要」、「インテグレーションはChoice&Customiseへ」、「グランドデザインが問われる」といった点を、同氏は指摘した。
これだけだと何やら禅問答めいた話にも聞こえるが、実際の話は具体的で、例えば「インメモリーDB」と「モバイル」は別個のものではなく深い関係がある、クラウドこそChoice&Customiseで発想するなど、話は示唆に富むと同時に、刺激的である。
本号では「Machine to Machine(M2M)」を特集した。IOTとも呼ばれるM2Mは、これまでは企業ITと無縁に近い存在だった。しかしクラウド、モバイル、ビッグデータといった文脈の中で、これからは企業ITと密接に、それ以上に中核に入り込む。これを推進し、支える役割を担うのはITリーダー、情報システム部門だと考えるからである。この特集はM2M入門編の位置づけであり、今後、年に何度かはM2Mを取り上げていくべきと思っている。
製品サーベイでは2011年、大きな問題を残した「標的型攻撃に対応するための製品・サービス」を調べた。事前の対策が困難とされる攻撃に、どうするか? ぜひ記事をお読みいただきたい。一方、ザ・プロジェクトでは、国際航業のERPの置き換え(リプレース)を取材した。ERPをはじめとする基幹系システムもまた、2012年の重要テーマである。
最後にお知らせを。筆者が理事を務める日本データマネジメントコンソーシアムは3月7日、様々なユーザー企業による講演を主体としたカンファレンス「データマネジメント2012」を、東京都目黒区の目黒雅叙園にて開催する。詳細は改めてお知らせするが、本誌読者の皆様には日程の確保をお願いしたい。
企業向けモバイルデータ通信で37.5MbpsのLTEを利用可能に
LTEによる通信の対応エリアでは、下り最大37.5Mbpsの高速通信が可能になる。3G回線に比べて通信の遅延を数分の1に抑えられるため、モバイル環境で仮想デスクトップ環境や業務システムを利用する際の体感速度が改善するという。社内ネットワークに閉域接続する「IIJダイレクトアクセス」と併用してセキュリティの向上を図れる。
IIJはLTEへの対応を機に、新たな料金体系を導入する。データ通信量に応じて月額料金の上限を三段階の定額で設定。通信量が3Mバイトまでの場合が800円、300Mバイトまでが2800円、300Mバイト以上が5700円とする。なお、月間通信量が3Gバイトを超えた場合、同月内の通信速度を128Kbpsに制限する制度を2012年9月30日以降に実施する予定である。 (栗原)
メンバーが社内ネットで議論しながらデータ分析する機能を追加
新版はコラボレーション機能を追加した。複数のユーザーが画面上でコメントを発信し、ディスカッションしながら原因の特定や解決策などを模索できる。画面を全員で共有し、データを操作しながら議論を進めていくことも可能だ。ライセンスを持たないユーザーの場合、一時的にアクセスを許可するURLを発行することで、ディスカッションに参加できる。
そのほか、スマートデバイスの画面サイズに関わらず、グラフなどの表示を最適化する機能も追加。iPhoneなどの小型端末での視認性を高めた。SAPやセールスフォース・ドットコムといった製品/サービスのデータを抽出するためのコネクタを搭載し、ウィザードを使って接続することもできる。
価格(税別)は、1サーバーライセンスと5ユーザーライセンスを含む最小構成で250万円から。 (折川)
分析結果の社内公開やコメント収集ができるBIツール
Yellowfinは社内に蓄積する各種データを収集し、グラフや表、チャート図などを使って可視化するソフト。新版は、どのグラフや表を使ってデータを表示するのかをサムネイルから選択できるようにした。データの内容や利用者に応じて、必要なグラフ/表を選び出せる。利用者同士が画面上で意見を出し合えるチャット機能も追加した。
作成したグラフをWebブラウザ経由で公開することも可能だ。従業員はデータを絞り込んでグラフを再表示したり、ドリルダウンして詳細情報を確認したりできる。「データをどのような切り口で分析するのかは個々で異なる。自在にアレンジできるようにして利活用の幅を広げた」(イエローフィン CEO グレン・ラビー氏)。
価格(税込)はグラフなどを作成するライセンス(3人分)が52万5000円から。 (折川)
DBシステム製品の構成を刷新、ディスクI/Oや検索処理の性能を向上
新構成では、サーバーとストレージを接続する日本HP製スイッチの帯域を1Gbpsから10Gpbsに拡大し、ディスクI/O性能を向上。さらに、最近呼び出したデータやファイルをキャッシュして読み込み性能を高めるネットアップの技術「Flash Cache」を採用した。
サーバーは日本HPの「ProLiant DL380」や「Red Hat Enterprise Linux 5」、日本オラクルの「Oracle Database 11g R2」で構成。ストレージはネットアップの「FAS3240AE」を使用する。価格は5400万円(税別)から。アシストは2012年末までに10社への販売を目指す。 (栗原)






